TSMCの売上が48%急増、AI半導体需要と貿易政策が影響

  • 2025年5月9日
  • 2025年5月9日
  • TSMC

TSMC(TSM)の2025年4月の売上が前年比で48%増加し、NT$3,496億(約116億ドル)に達しました。これは、市場予想の第2四半期売上成長率38%を大きく上回る結果です。

TSMCは、アップル(AAPL)やエヌビディア(NVDA)の主要な半導体製造パートナーとして知られており、世界のテクノロジー支出のバロメーターとも言える企業です。今回の急成長は、米中間の貿易摩擦による関税回避のため、企業が半導体の在庫確保を急いだことが要因と考えられます。

米国の貿易政策が経済見通しに与える影響

トランプ大統領が推進する貿易戦争は、世界的なGDP予測の見直しを促しています。iPhoneの需要やデータセンター建設といった分野にも影響が及ぶ可能性があります。しかしTSMCは、エヌビディア向けの高性能チップなど、人工知能(AI)関連の需要は引き続き強いと強調しています。

TSMCの売上の約20%はAI向け半導体が占めており、同社は今後もこの分野での成長が期待される立場にあります。

台湾ドル高が利益率に与える懸念

一方で、台湾ドルの急騰がTSMCの利益率を圧迫する可能性もあります。同社によれば、台湾ドルが1%上昇するごとに、営業利益率は0.4ポイント低下するとしています。TSMCの取引の大部分は米ドルで行われているため、為替レートの変動が直接的な影響を与える状況です。

AI半導体輸出規制の一部緩和が短期的な追い風に

トランプ大統領は、バイデン政権時代に導入されたAI半導体に関する輸出規制の一部を撤回する方針を示しており、これがTSMCにとって短期的な追い風となっています。現在、米国政府は新たな規制の策定に着手しており、今後は中国への間接的な技術供与を阻止する方向で、より厳格なルールが導入される見通しです。

今後の展望

TSMCは短期的にはAI需要と政策緩和による恩恵を受けつつも、中長期的には地政学的リスクや為替の影響といった課題にも直面しています。米中関係や米国の半導体輸出政策の動向を注視する必要があります。

TSMCのようなグローバルなサプライチェーンの中核企業は、投資家にとっても重要な指標であり、今後のテクノロジー業界全体の成長や変動の兆候を把握する手がかりとなります。

*過去記事はこちら TSMC

最新情報をチェックしよう!
>

幸せな生活作りのための米国株投資。
老後資産形成のための試行錯誤の日々を報告していきます。
皆様の参考になれば幸いです。

CTR IMG