米音声AI企業のサウンドハウンドAI(SOUN)は5月8日、2025年3月期の第1四半期決算を発表しました。売上高は2,910万ドルとなり、前年同期比で151%の成長を記録しましたが、アナリスト予想の3,040万ドルには届きませんでした。
同社の調整後1株当たり損失は6セントで、市場予想と一致しました。決算発表後、株価は時間外取引で5%近く下落しました。なお、サウンドハウンドAIの株価は年初来で51.7%下落しており、2月にはエヌビディア(NVDA)が保有株を売却したことが大きな売り圧力となっていました。
顧客基盤の多様化と音声AIの拡張戦略
サウンドハウンドAIは、第1四半期の売上において、特定の一社が10%以上を占めることはなかったと報告しています。これにより、同社の顧客基盤が継続的に多様化していることが明らかになりました。
最高経営責任者(CEO)のケイヴァン・モハジャー氏は、「完全な音声対応AIエージェントプラットフォームの提供により、あらゆる業界で現実的なAI活用の可能性を拡大している」と述べ、最近の買収によってクロスセルやアップセルの機会が増加していることにも言及しています。
エンタープライズ向け「Amelia 7.0」を発表
同社は企業向けAIエージェントプラットフォーム「Amelia 7.0」のリリースも発表しました。このプラットフォームは、サウンドハウンドAIの高度な音声認識技術によって、エンタープライズ用途における会話型AIエージェントを実現しています。
また、同社はレストラン向けの電話応対技術や、ホスピタリティ業界向けのAIコンシェルジュサービスの提供も行っており、音声コマースの分野に大きな機会を見出しています。
財務状況は良好、通期ガイダンスを維持
最高財務責任者(CFO)のニテシュ・シャラン氏は、「当社の音声AIは様々な産業で具体的な成果を上げており、サービス可能市場が拡大している」と述べています。
サウンドハウンドAIは、2025年の通期売上高予想として1億5,700万ドルから1億7,700万ドルのレンジを再確認しています。第1四半期末時点で、現金および現金同等物は2億4,600万ドル、負債はゼロであると報告されており、財務基盤は安定しています。