ディーウェーブ・クオンタム、過去最高の第1四半期売上を記録し株価高騰

  • 2025年5月9日
  • 2025年5月9日
  • BS余話

カナダの量子コンピュータ企業、ディーウェーブ・クオンタム(QBTS)は、2025年の第1四半期において過去最高の売上を達成しました。売上は1,500万ドルに達し、前年同期の1250万ドルから実に509%の増加となりました。この数値は、ファクトセット調べのアナリスト予想である1,050万ドルを大きく上回る結果となりました。

赤字幅が大幅に縮小、利益への道筋を示す

同期間の営業費用は3,120万ドルと前年同期比で31%増加しましたが、純損失は540万ドルとなり、前年の1,730万ドルから大幅に縮小しました。この改善は、ドイツのユーリッヒ・スーパーコンピューティング・センターへの量子コンピュータ「Advantage」の販売によって1,220万ドルの収益を得たことが主な要因とされています。

経営陣は、2025年3月31日時点での現金残高が3億430万ドルに達し、利益転換に向けた十分な資金を確保していると強調しています。

画期的な成果と論文が業界内で議論を呼ぶ

最高経営責任者(CEO)のアラン・バラッツ氏は、この四半期を「ディーウェーブ・クオンタムの歴史の中で最も重要な期間のひとつ」と位置づけています。特に注目されたのは、前述の量子マシンの販売に加え、同社が3月に科学誌「Science」に発表した論文です。

この論文では、ディーウェーブ・クオンタムの次世代量子マシン「Advantage2」が、従来のスーパーコンピュータでは100万年かかる問題をわずか20分で解決したとする内容が紹介されました。この主張は、米国の量子物理研究センター「Center for Computational Quantum Physics」の科学者たちから疑義が呈されましたが、一部の研究者はディーウェーブ・クオンタムの「超古典的性能」を証明する根拠として評価しています。

株価は急騰、業界全体にも好影響

この好決算を受けて、ディーウェーブ・クオンタムの株価は5月8日午前の米国市場で37%上昇し、9.45ドルを記録しました。

また、同業の米国企業イオンキュー (IONQ)も好決算を発表し、株価が3.86%上昇しました。同社も第1四半期の損失を縮小し、売上が予想を上回る結果となりました。

今後のディーウェーブ・クオンタムの注目ポイント

ディーウェーブ・クオンタムは、量子アニーリングに特化した技術とハードウェアの販売戦略により、業界内で差別化を図っています。今回の好決算と技術的成果は、将来的な利益計画に対する信頼感を高めるものとなり、量子コンピューティング分野全体の注目度を一段と高める結果となりました。

量子技術が現実的な商業利用に向けて進展する中、ディーウェーブ・クオンタムの動向は、今後も投資家にとって重要な関心事となりそうです。

*過去記事「ディーウェーブ・クオンタムの株価が46%上昇、量子コンピューティングのリーダーとしての地位を確立へ

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