カナダのeコマースプラットフォームであるショッピファイ(SHOP)の株価は、2025年第1四半期決算の発表を受けて5月8日のプレマーケットで8.5%下落し、86.48ドルとなりました。売上高は23億6000万ドルと市場予想と一致したものの、営業利益は2億300万ドルにとどまり、アナリスト予想の4億3700万ドルを大きく下回る結果となりました。
また、純損失は前年同期の2億7300万ドルから6億8200万ドルへと拡大しました。このような業績悪化を受けて、投資家からの懸念が高まっています。
2025年第2四半期の見通しとガイダンス
ショッピファイは、第2四半期について前年比で売上高が20%台半ば、粗利益が10%台後半の成長を見込んでいると発表しました。また、営業費用は売上高の39〜40%程度になる見込みとしています。
このガイダンスから、同社が成長を維持しつつも、コスト管理に引き続き注力する姿勢を示していることがわかります。
関税リスクと中小規模の加盟店への影響
アナリストの中には、米中貿易摩擦の影響がショッピファイの顧客層に大きな影響を及ぼすと指摘する声もあります。JPモルガンのアナリスト、レジナルド・スミス氏は、同社の業績について安定していると見ていますが、第2四半期の見通しや関税の影響が注目されると述べています。
また、コンサルティング会社Third Bridgeのアナリスト、チャーリー・マイナー氏は、小規模事業者が関税や規制変更の影響を大きく受ける可能性があると指摘しています。特に800ドル未満の輸入商品に適用されていた免税措置の終了が、収益予測の引き下げにつながる可能性もあります。
輸入依存度と投資家の懸念
ショッピファイは、前四半期の総商品取扱高(GMV)のうち14%が越境取引によるものであったと報告していますが、依然として一部の投資家は、輸入品の割合が高いと予想しています。特に中国からの輸入商品に対しては145%の関税が適用されており、これが同社のビジネスに与える影響を懸念する声があります。
オッペンハイマーのアナリスト、ケン・ウォン氏は、投資家の間で中国製品の割合に関する予測が幅広く、10%台から40%以上までさまざまであると述べています。
アナリストの評価と株価の動向
多くのアナリストは、ショッピファイの中核ビジネスモデルや市場における地位に依然として信頼を寄せています。ファクトセットによると、アナリストの約61%が同社の株式を「買い」と評価しています。
Benchmark Equity Researchのマーク・ズグトウィッツ氏は、マクロ経済や関税による影響を考慮しつつも、ショッピファイのグローバルでのポジションが業績を支えると述べており、目標株価を150ドルから125ドルに引き下げながらも「買い」評価を維持しています。
オッペンハイマーのウォン氏も、同様に強気の見方を示しており、POS(対面販売)ビジネスの国際展開によって成長が続くと期待しています。
*過去記事はこちら ショッピファイ SHOP