人工知能を活用した融資プラットフォーム企業、アップスタート・ホールディングス(UPST)の株価が、5月6日のアフターマーケットで18%近く下落しました。同社が第2四半期の売上見通しと赤字予測を発表したことが市場の失望を招いた形です。
第2四半期の売上と利益見通しが市場予想を下回る
アップスタートは、第2四半期の売上を約2億2500万ドルと予想しています。これは、ファクトセットがまとめたアナリスト予想の2億2620万ドルをやや下回る水準です。また、純損失は約1000万ドルになると見込んでおり、こちらも市場予想を若干下回る結果となりました。
このような保守的な見通しは、米連邦準備制度による高金利政策が個人消費や融資需要に影響を与えていることが背景にあります。高金利環境では借り入れコストが上昇するため、借り手の需要が減少しやすい状況です。
第1四半期の実績は大幅に改善
一方で、2025年第1四半期の業績は市場予想を上回りました。売上は2億1300万ドルで、前年同期比67%増、アナリスト予想の2億130万ドルを超える結果となりました。また、調整後の1株当たり利益は30セントと、アナリスト予想の17セントを大きく上回りました。
GAAPベースでは240万ドルの損失でしたが、前年同期の6460万ドルの損失と比べて大幅に改善しています。加えて、同四半期におけるローンの起案件数は240,706件で、前年同期比で102%増となりました。
通年見通しは改善、収益の黒字化も視野に
アップスタートは通年の売上予想を10億ドルから10億1000万ドルに引き上げました。また、2025年後半にはGAAPベースでの純利益が黒字化し、通年でも黒字を見込んでいるとしています。
この見通しの改善は、アナリストからの注目を集めており、米国みずほ証券のアナリストは「GAAPベースでの黒字化が見えれば、大型機関投資家の新たな投資先として注目される」とコメントしています。
市場の反応と今後の展望
今回の発表後に株価は急落しましたが、過去12カ月では110%以上の上昇を見せており、依然として高い成長期待がある銘柄です。特にAIを活用した信用評価モデルは、従来のスコアに頼らない新たな与信判断手法として評価されており、今後の融資市場における変革の鍵を握る可能性があります。
アップスタート・ホールディングスの今後の業績は、金利動向と消費者信用市場の回復に大きく左右されますが、AI技術を基盤にした独自モデルが差別化要因となる可能性が高まっています。
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