オープンAIが営利転換を撤回!マイクロソフトとの関係やソフトバンクの巨額投資はどうなる?

  • 2025年5月7日
  • 2025年5月7日
  • BS余話

オープンAIは、従来の営利企業への転換計画を撤回し、非営利組織の管理下に留まることを決定しました。この方針転換は、カリフォルニア州およびデラウェア州の司法当局との協議や、共同創業者であるイーロン・マスク氏からの法的挑戦を受けてのものです。今後、オープンAIの営利部門は「公益法人(PBC)」として再編され、株主利益と公共の利益のバランスを取ることが求められます。

オープンAIの新たな組織構造とその背景

オープンAIは、非営利団体であるOpenAI Inc.が営利子会社であるOpenAI Global, LLCを管理するという独自の構造を採用しています。今回の再編により、営利部門はPBCとして再編され、非営利団体がその取締役会を任命し、主要株主としての地位を維持します。この新しい構造は、投資家が株式を保有できるようにしつつ、オープンAIの創設時の使命である「人類全体の利益のためのAIの開発」を継続することを目的としています。

この決定は、イーロン・マスク氏をはじめとする関係者からの批判や法的圧力を受けた結果です。マスク氏は、オープンAIが営利企業へと転換することが創設時の非営利的使命に反すると主張し、訴訟を提起していました。また、カリフォルニア州とデラウェア州の司法当局も、非営利団体の資産が適切に保護されることを確認する必要があると指摘していました。

ソフトバンクによる300億ドルの投資とその影響

オープンAIの再編計画には、日本のソフトバンク(9984)による300億ドルの投資が含まれており、これによりオープンAIの企業評価額は3000億ドルに達するとされています。この投資は、オープンAIがAI分野での競争力を維持し、研究開発を継続するための資金源となります。また、ソフトバンクは、オープンAI、オラクル、MGXと共同で、米国内に大規模なAIデータセンターを建設する「スターゲートプロジェクト」にも参画しており、これによりAIインフラの強化が期待されています。

マイクロソフトとの関係と今後の展望

マイクロソフト(MSFT)は、2019年以降、オープンAIに対して累計で137億5000万ドルの投資を行ってきました。しかし、オープンAIの非営利構造の維持により、マイクロソフトの投資に対するリターンの透明性や評価が複雑化する可能性があります。現在、マイクロソフトはオープンAIの営利部門に対して株式を保有しておらず、将来的な利益の一部を上限付きで受け取る契約となっています。

オープンAIのCEOであるサム・アルトマン氏は、従来の複雑な利益上限構造を廃止し、すべての関係者が株式を保有できる通常の資本構造への移行を検討していると述べています。これにより、マイクロソフトを含む投資家にとって、より明確なリターンが期待できる可能性があります。

競合他社への影響と市場の反応

オープンAIの再編計画の撤回は、競合他社にとって好機となる可能性があります。特に、アルファベット(GOOGL)などの企業は、オープンAIの内部対立や利益追求の動機の低下により、競争上の優位性を得る可能性があります。一方で、オープンAIの非営利構造の維持は、公共の利益を重視する姿勢として評価される側面もあり、企業の信頼性やブランド価値の向上につながる可能性もあります。

まとめ

オープンAIの非営利構造の維持とPBCへの再編は、企業の使命と投資家の利益を両立させる新たな試みです。この決定は、AI業界全体におけるガバナンスや倫理的な課題に対する関心を高めるとともに、今後の企業構造のあり方に一石を投じるものとなります。投資家や関係者は、オープンAIの今後の動向に注目しつつ、AI分野における持続可能な成長と公共の利益のバランスを見極める必要があります。

*過去記事「オープンAIが営利化を断念!非営利体制継続の衝撃とその真相

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