トランプ大統領が外国製映画に100%関税を提案、米メディア株が下落

5月5日、トランプ大統領が「外国で製作されたすべての映画に対して100%の関税を課す」と発言したことで、ネットフリックス(NFLX)ディズニー(DIS)など米メディア関連株が大きく下落しました。この発言は、映画業界に広がる不安と混乱を反映しています。

メディア株が一時急落

この発表を受けて、5日朝の取引でネットフリックス(NFLX)の株価は約2%下落しました。ディズニー、ワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)、パラマウント・グローバル(PARA)もそれぞれ約1%の下落を記録しました。

トランプ大統領の主張とその背景

トランプ大統領は、自身のSNS「Truth Social」で「米国の映画業界は急速に死につつある」と述べ、他国が映画制作を奨励することで米国から制作機能が奪われていると主張しました。同氏はこれを「国家安全保障上の脅威」と位置づけ、外国製映画に100%の関税を課すよう政権に指示しました。

この発表は、中国がハリウッド映画の輸入削減方針を発表した直後のタイミングで行われました。これは、米中間の貿易摩擦の一環としての報復措置とみられています。

制作現場への影響と懸念の声

ディズニー傘下のマーベル・スタジオがロンドンで撮影中の「アベンジャーズ:ドゥームズデイ」や「スパイダーマン:ブランニュー・デイ」、20世紀スタジオの「アバター:ファイア・アンド・アッシュ」(ニュージーランド制作)、パラマウントの「ミッション:インポッシブル」最新作(国際的に撮影)など、多くの大型映画が対象となる可能性があります。

国際的な映画プロデューサーであるキャスリン・アーノルド氏は、この政策を「論理的にも経済的にも破壊的」だと批判しました。同氏は、「撮影や制作は国際的に分業されている現代において、国内限定の制作を強制すれば予算が膨れ上がり、特に中小規模作品が成り立たなくなる」と指摘しました。

さらに、照明技師やケータリング、運送など映画制作を支える周辺業種にも甚大な影響が及ぶことが懸念されています。米国内の税制優遇措置では、国内限定制作のコストを相殺するには不十分だとも述べています。

ストリーミング業界への影響と不確実性

現時点では、どのような形でこの関税政策が施行されるのかは明らかではありません。劇場公開作品だけでなく、ネットフリックスやディズニー+などのストリーミング作品にも適用されるのか、また国際共同制作にどのように対応するかといった点は未定です。

モルガン・スタンレーのアナリスト、ベン・スウィンバーン氏は「映画1本のコストやテレビ番組の制作コストに100%の関税がかかれば、作品数の減少、制作費の上昇、業界全体の利益減少につながる」と警鐘を鳴らしています。特にネットフリックスは映画コンテンツが視聴時間全体の25〜30%を占めており、影響を強く受ける可能性があるとしています。

また、他国が米国のストリーミングサービスに報復関税を課す、あるいは配信を制限するといったリスクも高まっています。

今後の展望

この政策が実際に導入されるのか、あるいはどのような形で実施されるのかは今後の政権の動向次第です。しかし、トランプ大統領の発言は、映画業界の国際的な構造やコスト体制に対する深刻な挑戦を示しており、多くの不確実性を市場と企業にもたらしています。

今後の政策動向と、企業の対応に注目が集まります。

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