第1四半期決算は市場予想を上回るも、株価は時間外で急落
パランティア・テクノロジーズ(PLTR)は5月5日に発表した2025年通期見通しで、売上高を従来の37億4,100万ドルから38億9,000万〜39億200万ドルへと大幅に上方修正しました。アメリカの商業部門の成長見通しも54%増から68%増に引き上げ、約11億7,800万ドルの売上を見込んでいます。
CEOのアレックス・カープ氏は決算説明会の中で「パランティアは燃えている(Palantir is on fire)」と表現し、今後も「実行にフォーカスし続ける」と述べています。
しかし、決算発表後の時間外取引で株価は最大9%下落しました。年初から65%上昇していたこともあり、利益確定売りが出たと見られます。
EPSは前年比で62%増、売上高は前年比39%増の力強い成長
第1四半期の調整後1株利益は13セントとなり、前年の8セントから大幅に増加し、ウォール街の予想と一致しました。売上高は8億8,400万ドルで、市場予想の8億6,200万ドルを上回り、前年同期比で39%増となっています。
パランティアの事業は元々、政府機関や防衛分野へのソリューション提供から始まりましたが、現在では民間市場にも大きく展開しており、売上の約半分を法人顧客から得るまでに成長しています。
米国商業部門が急成長、契約残高は23億ドルに拡大
今回の売上高の伸びをけん引したのは、米国市場です。米国全体での売上は前年比55%増、米国商業部門では71%増を記録しました。新規契約は8億1,000万ドルに達し、前年比で183%の増加となりました。既存契約の残高は23億ドルあり、今後の安定した収益源となる見込みです。
営業利益率も改善、収益性が向上
収益性の面でも改善が見られ、第1四半期の営業利益率は19.9%と、前年同期の12.8%から大幅に上昇しました。コスト管理の徹底と高付加価値のAIソリューションが貢献していると見られます。
第2四半期と通期ガイダンスも上方修正
第2四半期の売上見通しは9億3,600万ドルと、アナリスト予想の8億9,900万ドルを大きく上回っています。通期についても、売上高だけでなく、調整後営業利益および調整後フリーキャッシュフローの見通しも引き上げられました。
成長の勢いを強調する経営陣
パランティアの最高収益責任者(CRO)ライアン・テイラー氏は、「現場レベルでの需要は衰える気配がない。顧客との対話の中で、すぐに導入を開始したい、すぐに拡張したいという要望が続いている」と述べています。
また、最高財務責任者(CFO)のデビッド・グレイザー氏は、「当社は世界で最も重要なソフトウェア企業を目指している」と述べ、現在の成長はまだ始まりにすぎないという見方を示しました。
パランティア株は高バリュエーション状態、今後の決算は要注目
ただし、同社の株価は現在、今後12ヶ月の予想売上高に対する株価売上高倍率(PSR)でS&P500企業の中でも最も高く、2位のテキサス・パシフィック・ランド(TPL)の2倍以上に達しています。このようにバリュエーションが非常に高いことから、決算内容が株価に与える影響は常に大きなものとなります。
まとめ
パランティア・テクノロジーズは、AIを核としたソリューションにより、商業・政府の両市場で急成長を遂げています。営業利益率の改善や契約残高の拡大など、収益基盤も着実に強化されています。株価は短期的な調整局面を迎えていますが、中長期的には引き続き成長が期待される企業です。
*過去記事はこちら パランティア PLTR