好決算なのに株価急落?パランティアに起きた“逆転現象”の真相

2025年通期見通しを大幅に上方修正し、第1四半期も堅調な業績を示したパランティア・テクノロジーズ(PLTR)ですが、株価は発表直後の時間外取引で一時9%以上も下落しました。この意外とも言える株価の動きは、一体何を意味しているのでしょうか。

株価下落の背景にある「織り込み済み」の壁

市場は未来を先読みする「ディスカウント・メカニズム」であるため、すでに好材料が株価に反映されていた可能性があります。実際、パランティア株は年初来で64%も上昇しており、発表前には52週高値圏に到達していました。加えて、200日移動平均線を上回り、テクニカル的には「買われすぎ」の水準に近づいていたことから、利益確定売りが出やすい状況だったといえます。

業績は「火がついている」──それでも株価は軟調

アレックス・カープCEOが「Palantir is on fire」と語った通り、同社は実際に火がついたような成長を遂げています。第1四半期の調整後EPSは前年比で62.5%増、売上高も39%増という驚異的な伸びを記録しました。しかし、アナリストの予想では、今後の四半期でその成長ペースが減速する見通しです。第2四半期にはEPS成長率が46.1%、第3四半期には38%へと鈍化するとの予測がファクトセットから示されています。

高すぎる評価――PER189倍、PEGは5.5倍に

問題視されているのは、やはりバリュエーションの高さです。パランティアの株価収益率(PER)は予想ベースで189倍と、上場以来の平均である約98倍のほぼ倍。さらに、成長率を考慮したPEGレシオは5.5と、通常の適正水準(1以下)を大きく上回っています。これでは、「どれだけ良い決算でも株価が上がらない」状況に陥りやすいのも無理はありません。

政府依存のリスクと市場の警戒感

同社の売上の55%は政府関連契約によるものであり、これは「集中リスク」として懸念されています。米国政府が推進する予算効率化の取り組み(Department of Government Efficiency)によって将来的に契約が減少するリスクも存在します。パランティアは防衛関連で有利なポジションを維持しているものの、これまで欧州市場での商業展開は思うように進んでいないという指摘もあります。

個人投資家の支持と今後の株価動向

アナリストのギル・ルリア氏によれば、同社の株価は「ミッション志向の個人投資家」によって支えられている側面があるといいます。確かに、AIや防衛といった時流に乗ったテーマ性の強さは魅力です。しかし、機関投資家はバリュエーションの高さや収益構造の偏りをよりシビアに評価する傾向があるため、短期的なボラティリティは避けられないと予想されています。

まとめ

パランティアの決算はまさに「好決算」でしたが、株価の反応は「過熱の反動」を示すものでした。高成長・高収益・高評価の三拍子が揃った今、今後の株価動向は「期待と現実」のギャップをどう埋めていくかにかかっています。投資家としては、中長期的な視点で同社の成長軌道を見守ると同時に、過度な期待によるバリュエーションの上昇には注意を払う必要があります。

*過去記事はこちら パランティア PLTR

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