マイクロソフト(MSFT)の最新決算は投資家の注目を集めましたが、特に注目すべきはクラウドサービス「Azure」の力強い成長です。Azureは前年同期比で33%の売上増を記録し、競合他社を大きく上回る結果となりました。
他クラウドを圧倒するAzureの成長力
UBSのアナリストによると、Azureのドルベースでの四半期売上成長率は、アルファベット(GOOGL)の「Google Cloud」やアマゾン(AMZN)の「AWS」を大きく上回っています。クラウド全体で前年比62%の成長を達成しており、AWSの9%増、Google Cloudの2%増と比較しても、マイクロソフトの優位性が際立ちます。
これは、直近2四半期連続でAzureが10%を超えるドルベース成長を達成していることからも明らかです。マクロ経済環境が不安定な中でのこのパフォーマンスは、多くの投資家にとって大きな安心材料となっています。
なぜAzureはここまで成長できたのか?
マイクロソフトの経営陣は、Azureの成長背景として、クラウド移行の加速やデータサービス需要の高まりを挙げています。企業がオンプレミス(自社サーバー)からクラウドへの移行を進めていることが、売上拡大に大きく寄与しています。
UBSのアナリストも、「これほど不透明なマクロ環境において、オンプレミスからAzureへの移行が加速するのは予想外だ」と指摘しています。
オープンAIとの連携が成長の起爆剤に
今回の決算では、マイクロソフトがオープンAIと新たなAzure契約を締結したことも明らかにされました。以前の数十億ドル規模の契約に加え、今回の新契約もAzureの利用拡大を後押しした可能性があります。
さらに、オープンAIはデータブリックス、スノーフレーク(SNOW)、データドッグ(DDOG)といった第三者製のデータ分析ソフトウェアを活用しており、それらがAzure上で稼働している可能性も高いとみられています。オープンAIは、Azureの戦略的な顧客として、今後も成長をけん引する存在となりそうです。
この成長は持続可能か?
現在のAzure成長には、他のマイクロソフト製品からの移行や、戦略的顧客による利用拡大が影響しています。一方で、UBSはアマゾンやグーグルの成長鈍化を踏まえ、クラウドインフラ全体に対するIT支出の抑制傾向にも注意が必要だと指摘しています。
つまり、今回の成長は市場拡大というよりも、他社からのシェア獲得が主因である可能性もあります。
投資家にとっての注目ポイント
Azureの成長は、今後もマイクロソフト株にとって重要なドライバーとなりそうです。オープンAIとの連携やエンタープライズ市場での需要増は、長期的な追い風といえます。
ただし、IT支出の鈍化がクラウド全体に波及するリスクもあり、今後の決算でその影響を慎重に見極める必要があります。マイクロソフトのクラウド戦略が市場環境の変化にどう対応していくのか、注視が求められます。
*過去記事はこちら マイクロソフト MSFT