エヌビディア(NVDA)とブロードコム(AVGO)の決算発表はまだ先ですが、アナリストたちはすでにAI投資の拡大に安心感を示しています。メリウス・リサーチのアナリストは、最近発表された3月期の決算報告を受けて、大手ハイパースケーラーによる設備投資が堅調であることに「安堵している」と述べました。この投資傾向が、エヌビディアやブロードコムをはじめとした関連銘柄の投資判断を支える材料となっています。
中国市場の制限にも関わらず、エヌビディアは成長の兆し
エヌビディアは現在、中国向けのH20チップ販売が再び制限された影響を受けています。これにより、年間150億ドル以上の売上が失われる可能性があります。それにもかかわらず、メリウスは「年内にハイパースケーラーやコアウィーブ、イーロン・マスク氏の企業などからの需要が支えとなる可能性がある」と述べています。
また、バイデン政権が定めて近く施行予定の「AI拡散規制(AI-diffusion rule)」に関しても注目が集まっています。このルールは、国を3つのカテゴリーに分けて、米国のAIチップと計算能力へのアクセスを制限する内容です。、メリウスは「トランプ政権がこのルールを簡素化することを期待しているが、同様に厳しい規制となる可能性が高まっている」と分析しています。
エヌビディアの見通しとブラックウェルチップの販売状況
エヌビディアは、中国での新規制施行前に行ったH20チップの販売が、4月期の業績に寄与する可能性があります。加えて、米国のハイパースケールクラウド企業への新型ブラックウェルチップの販売が好調だったとも予測されています。
ただし、H20チップの販売停止により、7月期には40億~50億ドルの売上減少が見込まれており、四半期ごとの売上高は横ばいになる可能性があります。しかし、その後10月および1月には、ブラックウェルチップの納品により再び2桁成長に近い回復が期待されているとメリウスは述べています。
ブロードコムは規制の影響を受けにくい構造に
ブロードコムは、アルファベット(GOOG)やメタ・プラットフォームズ(META)といったクラウドリーダーにAI関連製品を供給していることから、「AI拡散規制」の影響を受けにくいとされています。さらに、同社のソフトウェア事業は関税の影響を回避できる点も強みです。
メリウスによれば、AI関連の売上は2024年度の120億ドルから、2025年度には180億ドルを超える見通しとなっており、2027年にかけてさらに成長が見込まれています。
マイクロソフトとIBMにも注目
マイクロソフト(MSFT)も、関税やEUの規制にうまく対応しており、「AI分野を再び牽引する準備が整っている」とメリウスは評価しています。一方で、アップル(AAPL)、アルファベット、メタ・プラットフォームズなどは、依然として関税や規制の影響を受けやすい状況にあります。
IBM(IBM)については、ディフェンシブ銘柄としての側面が評価されており、現四半期は「大型メインフレームの更新サイクル」と「Red Hat事業によるソフトウェア収益の加速」が期待されています。
アップルはサービス事業の加速がカギ
アップルに関しては、関税問題を最終的には乗り越え、iPhoneラインアップの刷新が進む見通しとしながらも、株価上昇には「サービス事業の再加速」が不可欠であるとメリウスは指摘しています。
今後の注目イベント:エヌビディアのComputex基調講演
投資家にとって、5月中旬に開催されるComputexでのエヌビディアの基調講演は重要なイベントとなります。今後のAI技術や製品戦略の方向性が示されることで、株価にも影響を与える可能性があるため、注視が必要です。