投資家にとって、次の10年を代表するような銘柄を見つけることは夢のような話ですが、過去を振り返れば、それを実現した企業は確かに存在します。現在、そのような「将来を担う銘柄」として注目されているのが台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(NYSE: TSM)、通称TSMCです。
なぜ今、TSMCが注目されているのか?
TSMCはすでに世界最大の半導体製造専業企業として知られていますが、今後の成長性を踏まえると、今後10年で最も魅力的な投資先の一つになる可能性があると言われています。
その理由の一つが、アップルやエヌビディアなど、世界のビッグテック企業のほぼ全てがTSMCに依存している点です。これらの企業はチップの設計は自社で行いますが、実際の製造はTSMCに委託しており、TSMCは競合製品を出すことがないため、安心して生産を任せられる存在となっています。
技術力と生産能力で圧倒
TSMCは現在すでに3ナノメートル(nm)チップの量産を可能にしており、2025年後半には2nm、2026年には1.6nmのチップを市場に投入する予定です。これらの技術は業界最先端であり、今後AIや高性能コンピューティングの分野で不可欠な存在になると予想されています。
地政学リスクとその対策
台湾に大きな製造拠点を持つ同社にとって、地政学的リスクは無視できない要素です。ただし、現在アメリカ国内でも約1,000億ドルを投資し、3つの製造拠点、2つのパッケージングセンター、1つの研究開発拠点を建設中です。このような分散化の動きが、将来的な供給リスクを抑える役割を果たすことが期待されています。
驚異的な成長見通しと割安な株価
特筆すべきは、TSMCの成長予測です。経営陣によれば、AI関連チップの分野では今後5年間で年平均45%の成長が見込まれており、全体としても年率約20%の売上成長が期待されています。これは5年間で売上が約2.5倍になる計算です。
それにもかかわらず、TSMCの株価は現在の市場全体と比べて割安水準にあるとされています。S&P500のPERが22倍前後で推移しているのに対し、TSMCはそれを下回っており、高成長を見込める企業としては非常に魅力的なバリュエーションです。
まとめ
AIと先端半導体の需要が爆発的に伸びる中で、TSMCはその中心に位置する企業です。市場全体を上回る成長が見込まれる一方、株価はまだ割安感があることから、「次の10年を代表する銘柄」の有力候補として注目されています。
*過去記事はこちら TSMC