アップル決算続報:売上は好調も、関税と先行き不透明感が株価を押し下げる

5月1日に発表されたアップル(AAPL)の第2四半期決算は、売上や利益が市場予想を上回る内容でしたが、投資家の注目が集まっていた「関税対応策」や今後の見通しに関する情報の不透明さが嫌気され、株価はアフターマーケットで約4%下落しました。

売上・利益は市場予想を上回る

同四半期のiPhone売上は468億ドルと、アナリスト予想の460億ドルを上回りました。また、1株当たり利益(EPS)は1.65ドルで、ファクトセット調べのコンセンサス予想1.62ドルを上回り、売上全体も954億ドルと、予想の945億ドルを上回りました。数量面でも販売は堅調で、ティム・クックCEOは「期初と期末で在庫水準は安定しており、駆け込み需要の兆候は見られなかった」と説明しています。

投資家を落胆させた「見通しの曖昧さ」

とはいえ、今回の決算で最も注目されたのは数字そのものではなく、米中間の貿易摩擦の激化に伴う関税の影響と、それにどう対応するかという点でした。クックCEOは、「現行の関税水準が維持される場合、6月期のコスト増加は約9億ドル」と述べましたが、米国経済の減速可能性については触れず、6月期以降の具体的なガイダンスも提示しませんでした。

サプライチェーンの地理的再構築

関税リスクへの対応として、アップルは生産拠点の分散を加速しています。iPhoneの50%がすでにインドから米国に輸入されており、第3四半期にはインドが主要輸出国となる見込みです。また、iPad、Mac、Apple Watch、AirPodsの多くは今後ベトナムで製造される予定です。これらの施策は、関税コストの抑制とサプライチェーンの多様化という2つの課題に対応するものですが、短期的には生産効率や利益率への影響も懸念されます。

中国以外のグローバル市場戦略に注目

クックCEOは「米国以外の市場向けには引き続き中国で製造された製品を供給する」と述べており、中国でのプレゼンス維持と並行して、インド・ベトナムといった新興製造拠点の強化を図る二重戦略がとられています。

市場の反応と今後の課題

ザックスのストラテジスト、ケビン・クック氏は「9億ドルのコスト増は、アップルの柔軟な事業体制を考慮すれば十分に吸収可能」と評価しました。一方で、AI領域での競争力や、中国市場でのブランド力低下という構造的な課題が解消されない限り、中長期的な株価の上昇には限界があるという声も根強くあります。

*過去記事はこちら アップル AAPL

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