2025年3月期の決算を5月1日に発表したアマゾン(AMZN)は、予想を上回る業績を示したにもかかわらず、時間外取引で株価が一時5%下落しました。関税を巡る不確実性が投資家の懸念材料となっているようです。
EPSと売上高は市場予想を上回る
アマゾンの3月期決算によると、1株当たり利益(EPS)は1.59ドルとなり、ファクトセット調べの市場予想1.37ドルを上回りました。売上高は1,557億ドルで、こちらも市場予想の1,552億ドルを上回る結果となりました。
さらに、2025年6月期の売上高見通しは1,590億ドルから1,640億ドルの範囲が示され、その中央値は市場予想の1,612億ドルとほぼ一致しています。
AWSの売上がわずかに予想を下回る
一方で、クラウド事業であるアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)の売上は293億ドルとなり、市場予想の294億ドルをわずかに下回りました。このわずかな未達が株価に影響を与えた可能性もあります。
CEOの発言と関税リスクへの懸念
決算発表後のアナリスト向けカンファレンスコールで、アマゾン(AMZN)のCEOであるアンディ・ジャシー氏は、現在のところ関税が需要や商品の価格設定に与えている影響は限定的であると述べました。ただし、今後は状況が変化する可能性があることにも言及しています。
関税問題は政治的にも敏感なテーマとなっており、4月にはトランプ政権が中国からの輸入品に対して145%という高率の関税を発表しました。その後、一部のテクノロジー製品については一時的な免除措置が取られています。
これに対し、中国も米国製品に対する報復関税を導入しています。アマゾンは、注文ごとに関税コストを個別に表示するとの報道を否定しており、ホワイトハウスはこのような措置を「敵対的かつ政治的な行動」とみなすとコメントしています。
アナリスト評価と今後の見通し
UBSのアナリストであるスティーブン・ジュ氏は、アマゾン(AMZN)の「買い」評価を維持したものの、目標株価を272ドルから253ドルへ引き下げました。その理由として、関税による将来的なリスクを挙げています。同氏は、米国で販売される商品の約半数が輸入品であると指摘しています。
株価パフォーマンスの現状
アマゾン(AMZN)の株価は、2025年に入ってから5月1日終値時点で13%下落しています。今回の決算内容自体は堅調であるにもかかわらず、マクロ経済の不透明感や関税リスクが株価の重しとなっている状況です。
*過去記事はこちら アマゾン AMZN