クアルコム(QCOM)が4月30日に発表した2025年3月期の決算は、利益・売上ともに市場予想を上回りましたが、今四半期の見通しがわずかに期待を下回ったことで、時間外取引で株価が下落しました。
EPS・売上ともに市場予想を上回る
クアルコムは、2025年3月期の1株当たり利益(EPS)が2.85ドルだったと発表しました。これはファクトセット調べのアナリスト予想の2.82ドルを上回る結果となりました。売上も108億ドルと、こちらも市場予想の106億ドルを超えています。
しかしながら、現在進行中の四半期に関して、同社は売上を99億ドル〜107億ドルと予想しており、その中央値は103.3億ドルという市場予想をわずかに下回っています。
クアルコムCEOのコメントと市場の反応
同社CEOであるクリスティアーノ・アモン氏は、マクロ経済や貿易環境の影響に触れながらも、技術開発力、製品ポートフォリオ、顧客との関係、業務効率に注力していると述べています。
この発表を受けて、クアルコムの株価はアフターマーケットで6%下落しました。
アナリストの評価と将来展望
4月28日、バーンスタインのアナリストであるステイシー・ラスゴン氏は、クアルコム株に対して「アウトパフォーム」の評価を維持しました。目標株価は185ドルに設定されています。
同氏は、「株価は非常に割安な水準にある」と指摘しています。現在、クアルコムの株価はフィラデルフィア半導体指数(SOX)およびS&P500指数と比べて40%のディスカウントで取引されており、これは近年で最も大きな割引率の一つと指摘しています。不確実性が高まる中では、こうした割安感が株価の支えになると同氏は見ています。
米中貿易と関税の影響
4月初め、トランプ政権は、中国からの輸入品に対する関税の対象から、スマートフォンやコンピュータなど一部のテクノロジー製品を除外すると発表しました。ただし、半導体や電子部品については、今後発表予定の新たなセクター別関税の対象となる可能性があると報じられています。
なお、アナリストによれば、アメリカは世界のスマートフォン出荷量のうちわずか10%しか占めておらず、将来の関税措置による同社への影響は限定的であると見られています。
クアルコム株のパフォーマンス
クアルコムの株価は、2025年4月末時点で年初来3%の下落となっています。一方、iシェアーズ半導体ETFは同期間に15%の下落を記録しており、相対的には健闘していると言えます。