半導体大手のエヌビディア(NVDA)の株価が4月30日の米国市場朝の取引で一時3.5%下落し、105.20ドルまで値を下げました。これは、ウォール街のアナリストからまれに見るネガティブな評価が出されたこと、そして人工知能(AI)関連サーバーメーカーであるスーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)の業績見通しが失望を呼んだことが主な要因です。
米調査会社シーポート・リサーチのアナリスト、ジェイ・ゴールドバーグ氏は、エヌビディア株に対して新たに「売り」の評価を付け、目標株価を100ドルとしました。同氏は2026年以降のAI関連支出の減速と、同社の最新ハードウェア導入における複雑さを懸念材料として挙げています。
同氏は「我々の調査によれば、エヌビディア製品の導入には従来型データセンターに比べて、冷却、設定、オーケストレーションなど、サプライチェーン全体で高い複雑性が求められる」と述べています。
加えて、エヌビディアの主要顧客である大手IT企業の多くが、自社設計のAIチップ開発を進めていることも指摘されています。
エヌビディア株に対する市場の評価と代替チップの存在
エヌビディアに対して「売り」評価をしているアナリストは極めて少数です。調査会社ファクトセットによると、ウォール街のアナリストの多くは同社株を高く評価しており、平均目標株価は161.59ドルとなっています。
一方、米投資銀行モルガン・スタンレーは以前、カスタムAIチップの市場シェアが2024年に11%、2030年には15%に拡大すると予測しており、それ以外の市場は依然としてエヌビディア製のAI向けGPUが主導すると見込まれています。
スーパーマイクロの業績下方修正が波及
AIサーバーを手がけるスーパー・マイクロ・コンピューターは最新の四半期見通しで、顧客のプラットフォーム導入決定の遅れを理由に、業績が予想を下回ると発表しました。同社のサーバーにはエヌビディア製のチップが多く搭載されているため、この発表はエヌビディアにも間接的な影響を及ぼしています。
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現在は、エヌビディアの旧世代ホッパーチップから新世代ブラックウェルチップへの移行期にあり、顧客が最新チップの導入を待っていることが要因と考えられます。今後、ブラックウェルシリーズの出荷が本格化すれば、エヌビディアにとってプラス材料となる可能性があります。
他のテック大手の動向と今後の注目点
メタ・プラットフォームズ(META)やマイクロソフト(MSFT)といったテック大手が30日に決算を発表しますが、エヌビディアにとって注目すべきは、これらの企業がAIデータセンターへの投資(資本支出)を維持あるいは拡大するかどうかです。
両社ともにAI開発に積極的であり、エヌビディア製GPUの重要顧客であるため、投資方針やカスタムチップ開発に関するコメントが、今後のエヌビディア株の行方を左右する鍵となります。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA