米国の大手テクノロジー企業、アップル(AAPL)の今週の決算発表に向けて、投資家たちはドナルド・トランプ大統領による関税政策が同社に与える影響に注目しています。そんな中、モルガン・スタンレーのアナリスト、エリック・ウッドリング氏は、アップル株の今後に強気な見方を示しました。
モルガン・スタンレーが目標株価を引き上げ
エリック・ウッドリング氏は4月29日、アップルの目標株価を従来の220ドルから235ドルに引き上げました。これは、4月28日の終値210.14ドルから12%の上昇余地を示唆する水準となっています。また、同氏はアップル株に対して「オーバーウェイト」の評価も改めて付与しました。
4月29日の米国市場で、アップルの株価は0.6%上昇し211.4ドルとなっています。今回の目標株価引き上げは、アップルが5月1日に予定している第2四半期(1~3月期)決算発表を前にしたものです。
第2四半期業績は市場予想を上回る見通し
ウッドリング氏は、アップルの3月期決算と6月期のガイダンスが「市場コンセンサスをやや上回る」と予想しています。ただし、関税の影響により、6月期の売上総利益率には若干の悪化要因があると指摘しています。
とはいえ、この関税影響はすでに市場参加者の間で織り込み済みと見られており、大きな驚きにはならない可能性が高いとしています。
関税回避の駆け込み需要が追い風に
トランプ大統領の関税政策により、スマートフォンやノートパソコンなど一部のテクノロジー製品には一時的な免除措置が取られています。それにも関わらず、消費者は将来の関税負担を見越して、早めに購入を進めている状況です。
先週、インテル(INTC)の経営陣も、第1四半期の売上高がこのような駆け込み需要の恩恵を受けたとコメントしています。ウッドリング氏をはじめとする複数のアナリストも、アップルの第2四半期決算が予想を上回る背景には、この消費者行動があると見ています。
そのため、今回の決算発表では過去の業績よりも、今後の見通しに対するコメントが注目されています。
アップルの今後に期待が高まる理由
ウッドリング氏は、アップルの将来性について非常に前向きな見解を示しています。
「これまでで最も長期間買い替えが行われなかったiPhone需要が蓄積されており、世界各地で新しいAI機能が段階的に展開されていること、さらにデバイスのフォームファクター(形状)変更への取り組みも始まっていることから、2026年度にはiPhoneの成長が加速すると考えている。その後2年間は再び買い替えサイクルが短縮する可能性がある」と述べています。
このような状況を踏まえ、アップルは関税リスクを乗り越え、中長期的な成長軌道に乗る可能性が高いと評価されています。
*過去記事はこちら アップル AAPL