米国株のハイテク投資家たちは、先週発表されたアルファベット(GOOGL)の四半期決算により、ひとまず安心感を得ました。しかし、今週はマイクロソフト(MSFT)、メタ・プラットフォームズ(META)、アップル(AAPL)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)の決算発表が控えており、投資家たちの不安はまだ完全には解消されていません。
トランプ大統領が中国やその他の国々との貿易交渉を進める中、これらの巨大ハイテク企業は、関税が世界経済に与える打撃、価格上昇、サプライチェーン混乱のリスクに直面しています。人工知能(AI)、クラウドコンピューティング、デジタル広告、オンラインショッピング分野への支出に対する意欲に疑問符が付いている状況です。
アルファベット、予想を上回る決算で株価上昇
アルファベットは、関税問題による不透明感が広がる中でも、四半期決算が予想を上回ったことから株価を押し上げました。同社は、今年の資本支出計画として約750億ドルを維持すると発表し、クラウド収益の急増も報告しました。
一方、IBM(IBM)は、顧客の購買パターンに「重大な変化」は見られないものの、貿易摩擦によって今後慎重な動きが広がる可能性があると警告しています。
マイクロソフトとメタ、AIとクラウド需要の動向に注目
マイクロソフトとメタは、4月30日に決算発表を控えています。マイクロソフトについては、AIとクラウド需要の減速兆候に対する市場の注目が高まっています。ウェドブッシュ証券のアナリスト、ダニエル・アイブス氏は、アメリカ国内で進行中のクラウドおよびAI関連プロジェクトのうち、10%〜15%が経済の不確実性により減速する可能性があると指摘しています。
トランプ大統領は、800ドル以下の商品を免税で米国に持ち込める制度の抜け穴を閉鎖する予定であり、この動きは消費者需要、企業コスト、物流網、さらには中国からの広告にも影響を与える可能性があります。この影響は、メタとアマゾンにとって特に重要な意味を持ちます。
メタ、広告収入への影響に直面
ベンチマークのアナリストは、メタが中国系広告主の撤退による売上への影響を具体的な数値で示すことを期待しています。中国は昨年、メタの売上高の11%以上を占めており、多くはTemuやSheinによるものでした。両Eコマースサイトからの広告出稿減少がすでに見られているとアナリストは報告しています。
アマゾン、倉庫在庫と供給網の見直しに注目
5月1日に決算を発表するアマゾンについては、BofAのアナリストが、同社がどれだけ多くの商品在庫を抱えているか、供給・保管・配送ネットワークの再編成にどれほどの時間を要するかに注目しています。また、アマゾンの中国サードパーティサプライヤーへの依存度や、クラウドサービス「AWS」の動向にも懸念が向けられています。
アップル、サプライチェーンの複雑さとAI開発の課題
同じく5月1日に決算発表のアップルは、消費者が関税発動前にiPhoneなどを先行購入している可能性があると指摘されています。スマートフォンは現時点ではトランプ大統領の輸入関税の対象外となっていますが、アップルはiPhoneの生産拠点をインドにシフトする計画を進めています。
しかし、関税がアップル製品の部品コストにどのような影響を与えるかには懸念が残っています。さらに、デジタルアシスタント「Siri」のAI機能開発の遅れや、サプライチェーンの複雑化にも直面しています。
マグニフィセント・セブン、S&P500の利益を牽引
アルファベット、マイクロソフト、メタ、アマゾン、アップルなどは、「マグニフィセント・セブン」と呼ばれ、株式市場に大きな影響を与えています。ファクトセットのシニア業績アナリストであるジョン・バターズ氏によれば、これら7社の第1四半期の利益成長率は前年同期比14.8%に達すると予想されています。これらの企業を除けば、S&P500構成銘柄の利益成長率は5.1%に留まる見込みです。
AIデータセンター投資、2025年にピークか
BofAのアナリストは、主要クラウドベンダーの支出が今年39%急増すると予測する一方で、マイクロソフトとアマゾンがデータセンター建設計画を見直している兆候があると分析しています。今年はデータセンター開発が踊り場を迎える可能性があり、AIデータセンター建設も2025年をピークに減速すると懸念されています。
依然として健全な米国企業の利益率
ファクトセットの最新レポートによると、S&P500企業の第1四半期の純利益率は4四半期連続で12%を超えており、米国企業の収益力は依然として健全な状態を保っています。