米国の有力投資情報メディア「バロンズ(Barron’s)」が、2025年に向けて注目すべき高配当銘柄に関する記事を公開しました。今回はその内容を要約し、紹介いたします。
不透明な経済環境で注目される高配当株
バロンズによると、現在の経済情勢では、多くの企業がキャッシュを温存する動きを強めています。消費者マインドの低下やトランプ大統領の強硬な貿易政策を背景に、企業は自社株買いやM&Aへの支出を抑制する傾向にあるとされています。
バロンズは、ゴールドマン・サックスのレポートを引用し、S&P500構成企業のキャッシュ支出の増加率は、2025年にわずか5%にとどまる見込みと伝えています。配当に充てる資金も、これまで予想されていた6%増から5%増へと見通しが引き下げられました。
高配当かつ安定した銘柄の選定基準
バロンズは、安定的に高配当を提供できる企業を探すため、以下の条件でスクリーニングを行ったと紹介しています。
- 配当利回りが5%以上
- 配当支払いがフリーキャッシュフローの75%以下
- 2025年の利益成長率が5%以上
この厳しい条件をクリアした企業群が、今後も配当を維持できる可能性が高いとしています。
高配当銘柄リスト(利回り順)
企業名(ティッカー) | 時価総額(十億ドル) | 利回り(%) |
---|---|---|
エジソン・インターナショナル(EIX) | 22 | 5.7 |
キーコープ(KEY) | 16 | 5.7 |
トゥルイスト・ファイナンシャル(TFC) | 48 | 5.7 |
VICIプロパティーズ(VICI) | 35 | 5.4 |
プルデンシャル・ファイナンシャル(PRU) | 36 | 5.3 |
ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMY) | 99 | 5.2 |
リージョンズ・ファイナンシャル(RF) | 18 | 5.1 |
スタンレー・ブラック・アンド・デッカー(SWK) | 9.1 | 5.1 |
U.S.バンコープ(USB) | 62 | 5.1 |
※配当利回りは直近四半期予想に基づいています。
注目銘柄の紹介
紹介された銘柄の中から、代表的な企業を取り上げます。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMY)
医薬品大手のブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMY)は、時価総額が990億ドルとリスト中最大規模を誇ります。四半期決算では堅調な業績を示し、引き続き配当を重視する姿勢が確認されています。
スタンレー・ブラック・アンド・デッカー(SWK)
電動工具メーカーのスタンレー・ブラック・アンド・デッカー(SWK)もリスト入りしています。在庫調整の影響で短期的に苦戦していますが、2025年後半には売上成長が見込まれています。長期的な配当支払い実績が評価されています。
その他の注目企業
さらに以下の企業もリストに含まれています。それぞれの企業概要も簡単に紹介します。
- エジソン・インターナショナル(EIX):カリフォルニア州を拠点とする大手電力会社で、安定したキャッシュフローを背景に高い配当を維持しています。
- キーコープ(KEY):オハイオ州に本社を置く地方銀行大手で、堅調な地域経済を背景に安定した利益成長を続けています。
- トゥルイスト・ファイナンシャル(TFC):BB&Tとサン・トラスト・バンクの合併により誕生した大手地方銀行で、効率的な統合効果が期待されています。
- VICIプロパティーズ(VICI):カジノリゾート施設を中心とした不動産を所有・運営するREITで、安定した賃料収入を背景に高配当を支えています。
- プルデンシャル・ファイナンシャル(PRU):生命保険や資産運用を手がける金融サービス大手で、堅実な収益基盤を持っています。
- リージョンズ・ファイナンシャル(RF):米国南部を中心に展開する地方銀行で、着実な貸出成長が見込まれています。
- U.S.バンコープ(USB):全米規模で展開する大手銀行で、強固な貸出ポートフォリオと低コスト体質が特徴です。
これらの企業は、安定した財務基盤に支えられた配当支払いが期待されています。
まとめ
バロンズが紹介した通り、現在の市場環境下でも安定的な高配当銘柄に投資するチャンスは存在しています。特に、堅実な財務体質と配当実績を持つ企業への投資は、長期的な資産形成において有効な手段となる可能性があります。今後の市場動向にも注目しつつ、慎重な銘柄選びが求められます。
*過去記事はこちら 配当株