スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)は、かつてS&P500種株価指数(SPX)で最もボラティリティが高い銘柄の一つとされていましたが、直近3カ月間で株価は9.6%上昇し、比較的落ち着いた動きを見せています。
シティによる新たなカバレッジとターゲット価格
シティリサーチは新たにスーパーマイクロのカバレッジを開始し、目標株価を39ドルに設定しました。これは4月25日の終値36.47ドルから約7%の上昇を見込む水準となっています。アナリストのアシヤ・マーチャント氏率いるチームは、同社を「中立」と評価しています。
強みとリスクのバランス
スーパーマイクロは、サーバー市場において独自の地位を確立し、急速にシェアを拡大してきました。特にハイパフォーマンスコンピューティングや人工知能(AI)向け製品に強みを持ち、売上高の約70%がAI関連事業から構成されています。また、エヌビディア(NVDA)の新型ブラックウェル・アーキテクチャ向けに、液体冷却ソリューションを多様に展開している点も注目されています。
一方で、アジアのODM(Original Design Manufacturer)企業が技術面で追いついてきたことで、競争が激化しており、今後の利益率に対する圧力が懸念されています。シティはこれにより、スーパーマイクロが掲げる14%〜17%の粗利益率目標の達成が不透明になっていると指摘しています。
顧客集中リスクと資本効率への影響
スーパーマイクロは、主要顧客に大きく依存していることもリスクとされています。主な顧客にはコアウィーブ(CRWV)、テスラ(TSLA)、xAIがあり、これらの企業が発注を減らしたり取引を停止した場合、同社の売上と運転資本に大きな影響を与える可能性があります。
特定顧客への依存度が高いことは、短期的な資金繰りにも直接的な影響を及ぼすリスクファクターとなっています。
監査問題と株式評価への影響
スーパーマイクロは、2月25日の期限ギリギリで10-K報告書を提出し、ナスダック市場からの上場廃止を回避しました。しかし、この過程で内部管理体制に対する懸念が高まりました。
シティは、同社の「疑問視される会計慣行および関連当事者取引の開示」が投資家心理に影響を与えていると指摘しています。この問題は、昨年ヒンデンブルグ・リサーチによる告発レポートを契機に広まりました。レポートでは、スーパーマイクロが会計操作や制裁逃れを行っていたとする疑惑が提起されました。
同社はこれらの疑惑を否定しており、米国司法省および証券取引委員会(SEC)と協力し、召喚状に対応していると発表しています。現時点で刑事告発などは行われていませんが、この問題は「評価倍率を低下させ、取引を確保するための競争圧力を高める可能性がある」とシティは指摘しており、スーパーマクロの評価に影を落としていると評価しています。
*過去記事はこちら スーパー・マイクロ・コンピュータ SMCI