グーグルの親会社であるアルファベット(GOOGL)が4月24日に発表した第1四半期の決算は、市場予想を大きく上回る好結果となりました。今後のAI競争や規制リスクをにらみつつも、投資家にとってポジティブなサプライズとなる内容です。
EPSと売上高が予想を上回る
アルファベットの調整後1株当たり利益(EPS)は2.81ドルとなり、ウォール街の予想である2.01ドルを大きく上回りました。前年同期の1.89ドルからも力強い成長を見せています。
売上高は902億3,000万ドルで、市場予想の891億7,000万ドルを上回り、前年同期比で12%の増加となりました。この発表を受けて、株価は時間外取引で4.5%上昇しています。
成長を牽引した主力事業とクラウド部門の改善
売上増加の背景には、検索広告、サードパーティ広告ネットワーク、そしてGoogle Playストアなどのサービスが好調だったことが挙げられます。
特に注目すべきはクラウド事業で、売上は前年比28%増の122億6,000万ドルとなりました。これはアナリスト予想をわずかに下回ったものの、利益面では大きな改善が見られ、営業利益は前年比で142%増となりました。
営業利益率の改善とキャッシュフローの堅調さ
アルファベットは主要セグメント全体で営業利益率が改善し、全社ベースでは31.6%から33.9%へと上昇しました。キャッシュ創出力も強く、フリーキャッシュフローは190億ドルとなり、前年から13%増加しています。
巨額のAI関連投資と資本支出
AI競争が激化する中で、アルファベットは2025年の資本支出を750億ドルと予想しており、前年から43%の増加となっています。第1四半期の資本支出も予想の170億ドルをわずかに上回り、前年同期比で43%の増加です。
この結果、減価償却費は31%増加し、今後もこの傾向が続く見込みです。巨額投資の回収と成長への転換が今後の注目点となります。
規制リスクと検索市場での競争激化
アルファベットは現在、米司法省との2件の反トラスト訴訟に直面しており、いずれも政府側に有利な判決が出ています。1件目はすでにペナルティの決定段階にあり、検索・広告インデックスの共有義務や会社分割などの厳しい措置が求められています。
さらに欧州では、アップル(AAPL)やメタ・プラットフォームズ(META)への制裁金を受け、デジタル市場法やデジタルサービス法の厳格な適用が予想されており、アルファベットにも影響を及ぼすと見られます。
AI検索の台頭とビジネスモデルの変化
パープレキシティやオープンAI、アンソロピックといったAI検索エンジンが台頭しており、グーグルの検索支配が揺らぎ始めています。かつては広告収益とクラウド事業がけん引する単純な成長モデルでしたが、現在は規制対応とAI開発、設備投資のバランスを取る複雑な経営判断が求められるフェーズに入っています。
株価と投資家の視点
アルファベットの株価は年初来で16%下落していますが、今回の好決算はその流れに一石を投じる可能性があります。今後の焦点は、AI投資の回収と規制リスクの管理となりそうです。
*過去記事 アルファベット GOOGL