4月23日の米国市場午前の取引でエヌビディア(NVDA)の株価が前日比で4.4%上昇し、103.25ドル付近で取引されました。前日の22日にも同社株は2%上昇しており、2日連続で堅調な動きを見せています。この上昇は、トランプ大統領が中国との貿易交渉において関税引き下げに前向きな姿勢を示したことを受けた、全体的な市場の楽観的なムードに支えられたものです。
半導体セクター全体に広がる好影響
他の半導体関連銘柄も上昇しており、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は7.7%、ブロードコム(AVGO)は5.2%上昇しました。iシェアーズ・セミコンダクターETF(SOXX)も5.7%の上昇を見せています。
トランプ大統領は22日、米国が中国から輸入する製品に課している145%の関税が、交渉を経て「大幅に」引き下げられると発言しました。これを受けて、ナスダック総合指数(COMP)も3.9%上昇しています。
エヌビディアに直接的な恩恵は少ないが心理的な支援に
関税の引き下げは、台湾からのチップ供給に依存するエヌビディアにとっては直接的な影響は小さいものの、中国による報復措置や、半導体輸入品に対する新たなセクター別関税への懸念を和らげる効果が期待されています。
ただ、トランプ政権は半導体への追加関税の導入を示唆しており、エヌビディアの中国向けチップ販売も制限されています。また、5月15日に施行予定の「AI拡散ルール」により、輸出規制がどのように適用されるかは、現時点では明確になっていません。
アナリストは短期的リスクを指摘
BofA証券のアナリスト、ヴィヴェック・アリヤ氏は、「今後のAI拡散ルールが短期的には最大のリスク」とし、最悪のシナリオでは売上の約10%、EPSの11%が影響を受ける可能性があると指摘しています。
アリヤ氏はエヌビディア株に対して「買い」評価を維持しつつ、2026年の予想利益に基づくPER(株価収益率)は約19倍であるとしています。ただし、目標株価は160ドルから150ドルに引き下げました。
このように、関税政策の緩和が市場に与える影響は大きく、エヌビディア株の短期的な動きにも反映されています。投資家にとっては、米中貿易の動向や政策変更が引き続き注目すべき要因です。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA