エヌビディアの次なる一手は「フィジカルAI」 幹部が語るロボットと自動運転の未来

2025年4月、米エヌビディアの2人の副社長が、日本経済新聞のインタビューで自社のAI戦略について語りました。対話型AIから一歩進んだ「フィジカルAI」への取り組みは、今後の技術トレンドを示す重要なヒントとなっています。本記事では、その要点と背景を整理しながら、これまでの報道も踏まえてエヌビディアの成長戦略を読み解きます。

自動運転で最重要なのは「AI開発インフラ」

エヌビディアのアリ・カニ副社長は、自動運転開発に必要な3種類のコンピューター(AI学習用、車載用、シミュレーション用)すべてを同社がカバーしている点を強調しました。中でも、最大の収益源はGPUを活用したAI学習用サーバーであり、米テスラはこの用途でエヌビディアの最大顧客になっているとのことです。

テスラに加え、中国の電気自動車(EV)メーカーも急速に自動運転技術を進化させており、欧州や日本の企業はこの両者に追いつくための努力が求められています。

レベル4の自動運転(限定条件下で完全自動運転)については、すでに米国内の一部都市で実用段階に入りつつあるものの、天候やインフラの影響でグローバルな普及には時間がかかるとの見解も示されました。

フィジカルAI:言語から“物理”へ進むAI進化の第二波

一方で、レブ・レバレディアン副社長は、生成AIの次の波として「フィジカルAI」の重要性を強調。これは、仮想空間でのシミュレーションを通じて、AIが運動や光、時間といった物理現象を理解する技術です。言語モデルが言葉の法則を学習するように、物理世界の法則を学ぶAIの登場が近づいています。

この技術は、ヒューマノイドロボットの開発にも応用されており、今後数年以内に工場や物流倉庫で数百万台が導入される可能性があると見られています。

組織力とソフトウエアがカギ

エヌビディアはAI分野の変化に即応するため、必要に応じて素早く組織を再編成しています。フィジカルAIの分野では、数千人のソフトウエアエンジニアがシミュレーション、基盤モデル、ロボティクスなどの技術に取り組んでおり、開発の加速には専用AIの活用も含まれています。

ヒューマノイドの実用化がもたらす新たな収益源

注目すべきは、ヒューマノイドロボット分野への本格参入です。数年以内に数百万台規模のヒューマノイドが工場や倉庫に導入されるとの見通しは、生成AIやデータセンター向けGPUに次ぐ第三の収益の柱の誕生を意味します。

2025年初め、エヌビディア株は調整局面に入り一部の投資家が成長鈍化を懸念する声もありますが、このような物理世界への応用分野が広がることで、再び中長期の成長期待が高まりつつあります。

まとめ

生成AIの成長フェーズから、物理空間へのAIの応用という次なる段階へと、エヌビディアは着実に舵を切っています。ソフトウエア、ハードウエア、シミュレーションの三位一体による事業戦略は、今後のAI市場における競争力を左右する重要な要素となるでしょう。

AI技術の実用化が次第に現実の経済活動と結びついていく中で、フィジカルAIの進展は投資家・開発者の双方にとって無視できないテーマになっています。

*過去記事はこちら  エヌビディアNVDA

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