TSMCが直面する“透明性の壁”――ファーウェイ流出問題が示す半導体リスクとは?

  • 2025年4月21日
  • 2025年4月21日
  • TSMC

TSMC(TSM)が4月18日に最新の年次報告書を発表し、顧客による輸出管理遵守の確保が困難であるという課題を明らかにしたとブルームバーグが報じています。この報告書は、TSMCが製造した半導体が仲介業者を通じて米国の制裁対象であるファーウェイ(Huawei)に渡っていたという指摘を受けた数ヶ月後に公表されたものです。

TSMCの立場と限界:サプライチェーンの「見えない領域」

TSMCは報告書の中で、自社が製造した半導体がどのような用途で使われ、どの最終顧客に届くのかについて、完全な可視性を持てない構造的な制約があると述べています。特に、同社はエヌビディア(NVDA)やアップル(AAPL)などのファブレス半導体企業に製造サービスを提供しており、これらのチップが第三者を通じてさまざまなデバイスに搭載される過程で、意図しない使途への流用が起こりうることが課題とされています。

ファーウェイ製AIチップにTSMC製品が?

ブルームバーグによれば、カナダのTechInsightsが行った調査によって、ファーウェイのAIチップ「Ascend 910B」にTSMCの製造した半導体が含まれていたことが確認されました。TSMCは、対象の顧客からの出荷を停止し、2024年10月にはワシントンと台北の当局に通報。現在も情報提供を含む調査協力を続けているとしています。

米国の規制強化:中国への技術流出を防ぐ圧力

報道では、米国政府が4月に入り、新たなAIチップ輸出規制を発表したことにも触れられています。これにより、TSMCやサムスン電子などに対して、顧客への審査強化と輸出管理の徹底が求められるようになりました。また、ファーウェイへのチップ流出に関与したとされる中国企業のSophgoやシンガポール拠点の企業、PowerAirなどが米国のエンティティリスト(制裁対象リスト)に追加された事実も報じられています。

投資家・関係者にとっての示唆

本件は、TSMCのガバナンスやリスク管理の課題に加え、半導体業界全体が直面する「透明性」の限界を示しています。ブルームバーグの報道は、こうした複雑な問題構造とグローバル規制の最前線を浮かび上がらせるものであり、今後の業界動向を読み解くうえで重要な材料となる内容です。

*過去記事はこちら TSMC

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