アルファベットが再び敗訴!検索事業に波及する“最悪のシナリオ”とは

先週、米連邦地裁はアルファベット(GOOGL)がオンライン広告市場において反トラスト法(独占禁止法)に違反していると認定しました。今年2度目の独占認定となります。

今回の判決では、アルファベットが「オープンウェブ・ディスプレイ広告のパブリッシャー向け広告サーバー市場」と「同ディスプレイ広告エクスチェンジ市場」において支配的な地位を濫用していたとされました。一方で、「オープンウェブ・ディスプレイ広告主向けネットワーク市場」については、原告が有効な市場定義を示せなかったとして、訴えが退けられています。

これに対し、アルファベットの規制当局担当であるリー・アン・マルホランド氏は、同社のSNSアカウントにて「我々は本件で半分勝訴し、残り半分は控訴する」とコメントしました。また、「パブリッシャーツールに関する裁判所の判断には同意しない」と述べ、「出版社には多くの選択肢があり、アルファベットの広告技術ツールが選ばれるのは、シンプルで手頃な価格で効果的だからだ」としています。

裁判の影響は限定的も、より重大なリスクは検索事業に

証券会社ベアードのアナリストであるコリン・セバスチャン氏は、今回の広告技術に関する訴訟の金銭的影響は限定的であると分析しています。同氏によれば、ディスプレイ広告ネットワーク事業はアルファベット全体の利益においてごくわずかな部分しか占めていないとのことです。

しかし、この裁判はアルファベットの検索事業に対するもうひとつの大きな独禁法訴訟のリスクを改めて浮き彫りにしました。

昨年8月、別の連邦地裁では、アルファベットが「一般検索サービス」と「一般テキスト広告」において、ブラウザ開発会社やスマートフォンメーカー、通信事業者との排他的契約を通じて市場の独占を維持していたと認定されました。この裁判は今月から「救済措置」の審理段階に入ります。

最悪のシナリオは競合へのデータ開放 検索品質の劣化も懸念

セバスチャン氏によると、最も懸念されるのは、米司法省が提案する救済措置が裁判所に受け入れられるケースです。この提案は、アルファベットが検索エンジンのデータアクセスを競合他社に提供することを義務づける内容となっています。

「これは政府による過剰介入の典型とも言えるもので、最悪のシナリオでは、アルファベットの独自技術の多くが競合に渡り、検索結果の品質が低下するリスクもある」と、セバスチャン氏はレポートで述べています。

アルファベットのマルホランド氏も昨年12月、このような救済措置は「米国の消費者に損害を与え、アメリカのテクノロジーリーダーシップを弱体化させる」と批判しています。「人々の検索クエリという個人情報を国内外の競合に共有させ、我々の製品開発能力を制限することになる」と述べました。

ベアードは、救済措置に関する裁判所の判断が8月に下されると予測しています。

*過去記事 アルファベット GOOGL

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