エヌビディアの勢いに陰り?新たな規制と市場の不安を超えられるか

2025年4月中旬、エヌビディア(NVDA)に関するニュースが立て続けに報じられ、投資家心理に大きな影響を与えています。中国向けAIチップの輸出規制、巨額の在庫費用計上、そして株価急落と、一見するとネガティブな材料が並びますが、その背後にはより深い成長戦略と供給網の転換が見えてきます。

中国向けチップ規制が業績に打撃

4月16日、米政府がエヌビディアの中国向けH20プロセッサーに対する新たな輸出規制を課したことが判明しました。これによりエヌビディアは今期、約55億ドルの在庫費用を計上すると明らかにし、同日の米国株市場では株価が6.87%も急落しました。AIブームの象徴として株価上昇を牽引してきたエヌビディアにとって、中国市場での制約は少なからぬ打撃です。

今回のH20チップは、既存のA100やH100といった主力製品に比べて規制対応を前提とした設計となっていましたが、追加規制により中国政府および企業向け販売が実質的に困難になったと見られています。

市場の懸念と過剰反応

一方、米国の投資情報メディア「バロンズ(Barron’s)」は今回の株価急落を「市場の過剰反応」と評しています。エヌビディアの成長ドライバーは中国だけでなく、米国および中東、欧州に広がるAIインフラ需要にあり、クラウド事業者や政府機関によるデータセンター向け需要が継続しているため、短期的な収益の落ち込みがあっても長期的な成長トレンドには変化がないというのが同メディアの見方です。
*関連記事「【株価急落】エヌビディアに何が?AI成長に陰りなしとバロンズが指摘

実際、マイクロソフト、アマゾン、メタといった大手テック企業は、2025年以降のAIモデル訓練・推論能力を高めるためのGPU調達を加速させており、次世代ブラックウェル・アーキテクチャを採用した製品への需要は依然として旺盛です。

競合との関係と政策リスク

今回の規制は、エヌビディアだけでなく、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)やインテル(INTC)といった競合各社にも影響を及ぼしています。中国政府は対抗措置として、中央省庁や国有企業に対し、米国製チップの排除を進めており、自国開発のプロセッサーを優先的に採用する方針を打ち出しています。

これは単なるテクノロジーの競争ではなく、サプライチェーンの地政学的な再編を意味します。結果として、非中国系企業は今後、中国市場に依存しない戦略がより一層求められることになります。

長期的には強気の見方が依然優勢

短期的には厳しい材料が多く、株価のボラティリティも高まっていますが、多くのアナリストはエヌビディアの将来性を高く評価し続けています。特に、ブラックウェル世代GPUやGrace CPUとの組み合わせによるトレーニング性能の飛躍的向上は、生成AIモデルのさらなる発展を促進すると期待されています。

また、米国政府はAIと半導体の国家戦略を推進しており、インフラ整備や研究開発投資も進行中です。エヌビディアはその中核的企業として、今後も支援を受けながら、米国内での生産拡大やサプライチェーンの再構築を進めていくと見られます。

まとめ:投資家は「ノイズ」に惑わされず成長軌道を注視すべき

今回のエヌビディアに関する一連の報道は、市場に短期的な不安を与える一方で、AIインフラ市場の本質的な成長と米中間のテクノロジー覇権争いという構造的なテーマを改めて浮き彫りにしました。

投資家としては、短期的な株価の変動に一喜一憂するよりも、AIとデータセンターを中心としたエヌビディアの中長期的な戦略と競争優位性に注目し、冷静な判断を下す必要があります。

*過去記事はこちら  エヌビディアNVDA

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