イーライ・リリー株が15%急騰!経口GLP-1薬でノボ・ノルディスクに挑む

  • 2025年4月18日
  • 2025年4月18日
  • BS余話

アメリカ製薬大手のイーライ・リリー(LLY)は、同社が開発中の経口GLP-1受容体作動薬「オルフォルグリプロン」が、最新の第3相臨床試験で有効性と安全性の両面において有望な結果を示したと発表しました。この発表を受けて、同社の株価は4月17日の米国市場で15%を超える急騰を見せました。

オルフォルグリプロンは、ノボ・ノルディスク(NVO)の「オゼンピック」と同様、食欲や血糖値を調整するホルモン「GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)」の働きを模倣する薬です。今回の試験では、最も高用量の投与群で平均7.9%の体重減少(約7.3キログラム)という結果が得られ、事前に示されていた予想値(4%~7%)を上回りました。

血糖コントロールはやや劣るが、全体としてポジティブな評価

血糖値の指標であるヘモグロビンA1cの低下率は、オルフォルグリプロンでは1.3%~1.6%で、対照群(プラセボ)では0.1%の低下にとどまりました。ただし、オゼンピックに比べると若干効果は劣るとされています(オゼンピックでは約2%の低下)。

それでも、BofA証券のアナリストは「大手製薬のパイプラインの中でも、最も注目されていたイベントの一つで、結果は非常に良好だった」と分析しています。

経口薬のメリットとグローバル展開の可能性

オルフォルグリプロンは注射型ではなく錠剤として服用できるため、製造が容易で、コールドチェーンが課題となる新興国市場でも展開しやすい利点があります。これは、過去に製造能力で課題を抱えたことがあるイーライ・リリーやノボ・ノルディスクにとって、大きなアドバンテージとなります。

また、ノボ・ノルディスクの経口GLP-1薬「リベルサス」とは化学的な構造が異なり、オルフォルグリプロンは食事と同時に摂取する必要がないという点でも利便性が高いとされています。

副作用と安全性の評価

副作用として最も多く報告されたのは吐き気や嘔吐で、最も高い投与量の群では8%の患者が治療を中止しました。ただし、重篤な肝障害などの安全性上の懸念は報告されておらず、安全性の面でも極めて良好な結果が得られました。

承認取得と今後の展望

オルフォルグリプロンは現在、7つの第3相試験のうち約半分を終えた段階にあります。肥満治療薬としては年内に規制当局への承認申請を目指しており、糖尿病治療薬としては2026年の申請を予定しています。

イーライ・リリーは、既に「ゼップバウンド」や「マウンジャロ」といったブロックバスター級の体重減少薬を持っており、今回の経口薬の成功はそのポートフォリオをさらに強化するものとなります。最近の四半期では、これらの薬の販売増加により、同社の売上は45%増加しました。

もし承認されれば、同社は供給制約なく世界的に販売できる体制を整えていると述べており、市場拡大に向けて万全の準備が進んでいます。

このように、オルフォルグリプロンはイーライ・リリーにとって次世代の成長ドライバーとなる可能性があり、今後の展開に大きな注目が集まります。

*過去記事「注目のGLP-1経口薬に暗雲?ファイザーが開発中止を発表、ライバル株は上昇

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