アルファベット、広告テクノロジー独占で有罪判決!市場はどう動く?

米国インターネット大手のアルファベット(GOOGL)が、広告テクノロジー市場で独占的行為を行っていたとして、連邦裁判所から有罪判決を受けました。バージニア東部地区連邦裁判所の判事は、同社が広告サーバーおよび広告取引所(アドエクスチェンジ)の分野で市場支配力を行使していたと判断しました。ただし、広告ネットワークに関しては独占とは認められませんでした。

同社の規制担当副社長リー・アン・マルホランド氏は、「出版社には多くの選択肢があり、グーグルを選ぶ理由は広告技術がシンプルで効果的、かつ価格も手頃だからだ」と述べ、判決の一部に対しては控訴する方針を示しています。

今回の判決の重要度と投資家の反応

今回の判決は、2023年8月に別の判事がグーグルの検索事業を独占と認定した判決と比較すると、影響は限定的と見られています。なぜなら、広告テクノロジー部門は検索事業に比べて売上規模が小さく、直近の四半期では成長が鈍化しているからです。

エドワード・ジョーンズのアナリストであるデービッド・ヘーガー氏は、広告テクノロジーは現在のグーグルにとって成長ドライバーではなくなっており、市場に与える影響は限定的であると述べています。

広告ネットワーク事業は利益率も低め

BMOキャピタル・マーケッツのブライアン・ピッツ氏によれば、グーグルの広告ネットワーク事業は、検索やYouTube事業と比べて利益率が低く、この部門からの広告収入の大部分は「トラフィック獲得コスト(TAC)」として外部パートナーに支払われているとのことです。

そのため、たとえ広告テクノロジー事業に対して分離・売却といった是正措置が取られることになっても、グーグル全体の収益性には大きな影響を及ぼさない可能性があります。

今後の展開と司法省の方針に注目

今回の訴訟において、米司法省はグーグルに対し、広告サーバーおよび広告取引所事業の分離・売却と損害賠償を求めていました。この方針が今後、トランプ政権下で任命された新たな司法省幹部によって変更される可能性もあります。

一方で、すでに進行中の訴訟については政権が代わっても継続されるとの見方もあり、今後の政策動向には引き続き注意が必要です。

また、検索独占訴訟においては、グーグルの「Chrome」事業を分離させるべきだという主張も出ており、複数の部門にわたる事業再編の可能性が浮上しています。

株価への影響は軽微、投資家は冷静な反応

判決が発表された4月17日の米国市場でアルファベットの株価は1.42%安の151.16ドルとなりました。しかし、市場全体としてはこの動きを冷静に受け止めており、「即時的な業績悪化にはつながらない」という見方が広がっています。

ヘーガー氏も「市場はまだ最終解決までには時間がかかると見ている」と指摘しており、株価の反応が限定的である理由として、裁判が長期化する可能性が高いことが挙げられます。

投資家にとっての意味と今後の見通し

一部の市場関係者からは、広告テクノロジー事業がグーグル本体から分離されることで、企業価値の再評価が進む可能性もあるという意見も出ています。特に、広告テクノロジー事業は評価が低いため、それを除外することで他の高収益部門、特に検索やYouTubeの成長性がより鮮明になることが期待されています。

現時点では、今回の判決がアルファベット全体のビジネスモデルを根本的に揺るがすものではありませんが、今後の司法判断や規制動向次第では、事業再編や成長戦略の見直しが迫られる可能性もあるため、投資家としては引き続き注視していく必要があります。

*過去記事 アルファベット GOOGL

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