アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)が、データセンター向けの一部の中央処理装置(CPU)を米国内で製造すると発表しました。これは、半導体製造の拠点が米国へと移行していることを示す新たな兆候です。特に、半導体業界が関税リスクに直面している中での動きとして注目されています。
米アリゾナ州で初めてAMD製品が製造へ
AMDは、TSMC(TSM)のアリゾナ州の工場において、データセンター向けCPUの製造を開始すると発表しました。これにより、AMDの製品が初めて米国で製造されることになります。
この発表は、ライバルであるエヌビディア(NVDA)が人工知能(AI)スーパーコンピューターを米国で製造する計画を発表した直後に行われました。両社ともに、台湾への依存を減らし、製造拠点を多様化させる姿勢を明確にしています。
半導体輸入への関税の可能性が高まる中での動き
現在、トランプ政権は国家安全保障の観点から半導体輸入の調査を進めています。この調査は1962年通商拡大法の第232条に基づいて行われており、国家安全保障にとって重要とされる製品に対して大統領が関税を課すことが可能となります。調査に関する通知は連邦官報に掲載され、4月16日に正式に発表される予定です。
AMDの株価と今後の展望
15日の米国市場の正午過ぎの段階でAMDの株価は1.9%上昇し、96.31ドルで取引されています
さらに、AMDは次世代EPYCプロセッサ(コードネーム「Venice」)が、TSMCの2ナノメートルプロセスでの製造に向けて設計完了した最初の高性能コンピューティング製品であると発表しています。TSMCは、2025年後半に2ナノメートルチップの量産を開始するとしており、当面は台湾国内のみでの製造となる予定です。
エヌビディアとインテルとの競争環境
AIチップ市場では、AMDはエヌビディアのグラフィックス処理装置(GPU)に後れを取っていますが、一方でデータセンターおよびパーソナルコンピューター分野においては、インテル(INTC)から市場シェアを獲得しつつあります。
インテルもまた、今年後半に18Aプロセスによる次世代プロセッサの製造を開始する計画を明らかにしています。この18Aプロセスは、TSMCに対して技術的な優位性をもたらすとされています。
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