2025年4月初頭に発表されたトランプ大統領による新たな関税政策は、米国株式市場に再び大きな揺さぶりをかけました。特にテクノロジー株に対しては、不確実性が高まる局面となっており、投資家はポートフォリオの見直しを迫られています。
中国依存のリスクが再評価される局面
今回の関税の発表と一部撤回を受け、アップル(AAPL)やアマゾン・ドット・コム(AMZN)といった中国から製品を調達する企業に対する市場の見方は厳しさを増しました。これらの企業は、調達コストの上昇に直面する可能性があり、それが業績圧迫要因となることが懸念されています。
複数の投資アドバイザーは、今後は中国以外に製造拠点を移した企業、例えばベトナムやインドに生産ラインを展開している企業に注目すべきと指摘しています。こうした企業はサプライチェーンの柔軟性が高く、関税リスクに対してより迅速に対応できるという見方が広がっています。
テクノロジー銘柄すべてがリスクではない
ただし、すべてのテック企業が一様にリスクを抱えているわけではありません。マイクロソフト(MSFT)のように、景気減速下でも業務効率化ツールを提供する企業は、企業のIT投資が抑制される局面でも一定の需要を維持できると見られています。
加えて、サービスナウ(NOW)やイントゥイット(INTU)といった、生成AIを導入して業務効率を改善するソフトウェア企業は、むしろ経済不透明感の中で注目される可能性が高いとされています。経済全体が縮小傾向にある場合でも、生産性向上を支援する技術へのニーズは底堅く推移する傾向があります。
景気見通しと投資姿勢:短期ではなく中長期で捉えるべき局面
一部のポートフォリオマネージャーは、今後発表される企業の四半期決算について、過去の実績よりも将来のガイダンスの方に注目が集まると見ています。これは、現在の市場が「今何が起きたか」よりも「これからどうなるか」に焦点を移していることを示しています。
株式市場の短期的な動きに左右されず、長期的な視点でテクノロジー企業の成長ポテンシャルに注目する投資家も少なくありません。過去のデータから見ても、米国を代表する大手テクノロジー企業は長期的には安定的な成長を遂げてきており、今回の調整局面も成長軌道に戻る過程の一部と捉える声が多くあります。
市場の変動とどう向き合うか:冷静な対応が鍵
現在のように不確実性の高い局面では、大きなポジションの変更は避け、既存のテクノロジー銘柄を保有している投資家は冷静に推移を見守る姿勢が推奨されています。
S&P500種指数の構成銘柄のうち、いわゆる「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる主要テクノロジー企業群の長期パフォーマンスは、依然として市場の成長エンジンであることに変わりありません。これらの企業は世界的なデジタル化の潮流に乗っており、経済の長期的なトレンドと整合的に成長していく力を持っています。
米中貿易戦争の新展開と、それに伴う関税リスクは、確かに市場にとって警戒すべき要素です。しかし、だからこそ投資家は短期的な動きに惑わされず、企業のファンダメンタルズと長期的な成長ストーリーをしっかりと見極めることが求められています。