テクノロジー株への投資家たちは、ドナルド・トランプ大統領による関税提案や米中間の貿易戦争に関する不確実性が、人工知能(AI)関連の需要を損なうのではないかと懸念しています。実際に、iシェアーズ・フューチャーAI&テク(ARTY)上場投資信託は、年初から19%下落しています。
しかし、最近の動きからは、AI需要が依然として堅調であることを示す重要な兆候がいくつか見られます。
TSMCの好調な売上成長
4月10日、TSMC(TSM)は、3月の売上高が前年同月比で46.5%増加したと発表しました。この力強い売上成長は、AI向け半導体に対する需要が引き続き高水準であることを示しています。TSMCは、エヌビディア(NVDA)、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)、その他の大手米国テクノロジー企業向けに高度なAI半導体を製造しています。
TSMCはまた、アルファベット(GOOGL)やアマゾン・ドット・コム(AMZN)向けにカスタムAI半導体を供給しており、両社はAIへの強い信念を改めて示しています。
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アルファベットによる強気の設備投資計画
9日には、アルファベットのCEOであるサンダー・ピチャイ氏が、2025年の設備投資計画として750億ドルのガイダンスを再確認しました。この金額は前年比で43%増であり、2月に最初に発表された際にはウォール街の予想を大きく上回っていました。
このような積極的な投資姿勢は、アルファベットがAI分野を企業戦略の中心に据えていることを示しています。
アマゾンのAI投資への意欲
具体的な設備投資の金額を明示しなかったものの、アマゾンのCEOのアンディ・ジャシー氏は10日、株主宛の手紙の中で、AI分野への継続的な投資に強い姿勢を示しました。
ジャシー氏は、「AIは我々の知るすべてを再構築する一生に一度の機会であり、かつてない需要がある。我々の顧客、株主、ビジネスのためにも、今こそ積極的な投資を行うべきだ」と述べています。
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AI需要は依然として堅調
今週に入ってからのこれらの動きは、AIに対する需要が根強く存在していることを裏付けています。地政学的な不安が投資家心理に影響を与える場面もありますが、実際の企業動向や業績を見る限り、AI関連ビジネスは成長を続けているといえます。
今後も、各企業の設備投資や業績発表から、AI市場の実態をしっかりと見極めることが重要です。