米広告テクノロジー企業のアプラビン(APP)の株価は乱高下を続けていますが、モルガン・スタンレーは今こそ買いのチャンスだとしています。同社のアナリストであるマシュー・コスト氏は4月10日、アプラビンの株式を「イコールウエイト」から「オーバーウエイト」に格上げしました。
同時に目標株価は従来の470ドルから350ドルに引き下げられましたが、これは前日の終値274.96ドルから27%の上昇余地を示しています。
広告市場でのシェア拡大と非ゲーム領域での成長に注目
コスト氏はリサーチノートの中で、「アプラビンはゲーム広告において着実にシェアを拡大し、非ゲーム領域でのスケール構築も予想を上回るスピードで進展している」と述べています。その一方で、株価は第4四半期の決算以降、46%下落しており、現在は割安な水準にあると分析しています。
4月10日の米国市場でアプラビンの株価は前日比6.2%安の258ドルとなっています(米国東部夏時間13:17現在)。
年間で241%の上昇、売上も堅調に成長
アプラビンの株価は過去12か月で241%上昇しました。2024年の売上高は前年比43%増の47億1,000万ドルとなっており、2021年の上場以来69%の成長を記録しています。
しかし、ドナルド・トランプ大統領による関税発表により、株式市場全体が下落する中、同社の株価も年初来で17%の下落となっています。
景気後退リスクと広告費削減の懸念
広告主による広告費の削減が経済不透明感の中で起こる可能性があり、これがアプラビンの収益に悪影響を及ぼすという懸念があります。特に米国経済が景気後退に陥った場合、その影響は大きくなる可能性があります。
それにもかかわらず、コスト氏は同社の将来性に期待を寄せています。「現在のマクロ環境にはリスクが伴うことを認識しているが、アプラビンは我々の広告カバレッジの中でも最も堅調な銘柄の一つであると考えている」と述べています。
ショートレポートによる影響と経営陣の反応
アプラビンはショートセラーからの報告により株価が影響を受けています。2月26日には、Fuzzy Panda ResearchとCulper Researchが、同社がメタ・プラットフォームズの広告ターゲティング戦略を模倣していると主張するレポートを発表しました。さらに、アプラビンの広告がGoogleおよびアップルのアプリストアの規約に違反しているとも指摘しています。
3月27日には、Muddy Waters Researchがアプラビンに対してショートポジションを取ったと発表しました。このレポートでは、同社がメタ、スナップ(SNAP)、TikTok、レディット、グーグルなどのプロプライエタリIDを不正に抽出し、ユーザーの同意なく広告ターゲティングに利用していると主張しています。
これに対し、CEOのアダム・フォルーギ氏は2月のブログ投稿で「これらの報告は不正確な情報や誤った主張に満ちている」と反論し、3月には「AIツールを使えば、こうしたショートレポートの誤りは数分で見抜ける」と述べ、投資家に冷静な分析を呼びかけました。