デルタ航空、通期見通しを撤回―世界貿易の不透明感が成長の足かせに

  • 2025年4月9日
  • 2025年4月9日
  • BS余話

デルタ航空(DAL)が4月9日に第1四半期決算を発表し、2025年度の通期業績見通しを撤回し、「成長がほぼ停滞している」との見解を明らかにしました。世界貿易を取り巻く経済的不確実性が要因とされています。2025年の株価はすでに40%以上下落しており、ウォール街の期待も急落している中での発表でしたが、発表後の時間外取引では株価が一時3%上昇しました。

第2四半期の業績見通しはやや控えめ

デルタ航空は2025年4〜6月期の1株当たり利益(EPS)を1.70ドル〜2.30ドルと見込んでおり、アナリスト予想の2.21ドルとおおむね一致する水準です。なお、2024年の同時期には2.36ドルのEPSを記録しており、やや控えめな見通しとなっています。

第1四半期決算では市場予想を上回る

2025年1〜3月期のEPSは46セントとなり、ウォール街の予想である38セントを上回りました。売上高も133億ドルと、予想の130億ドルを上回る結果となりました。この数字は、市場の警戒感を一部和らげる内容といえます。

通期ガイダンスは一時撤回、市場の注目集まる

デルタ航空は当初、2025年の通期EPSを7.35ドル以上と見込んでいましたが、今回の決算発表でそのガイダンスを撤回しました。現在の経済情勢では業績見通しを更新するのは時期尚早であるとしつつ、「堅実な収益性を実現するポジションにある」とコメントしています。

トランプ大統領の関税政策が航空業界に影響

デルタの決算発表の数時間前、トランプ大統領による大規模な関税措置が発効しました。CEOのエド・バスティアン氏は声明の中で関税に言及はしなかったものの、「世界貿易を取り巻く経済的不確実性」が成長を鈍化させていると述べました。

投資家心理に与える影響と業界全体への波及

デルタ航空は、企業および消費者の信頼感が経済の不透明感により低下していると、3月11日の時点で警鐘を鳴らしていました。特に、第1四半期における500百万ドルの収益未達について、その半分は天候不順や航空業界での事故など一時的な要因とされましたが、残りは旅行需要の鈍化に関連しています。

最近では、トランプ大統領による新たな関税発表が不確実性をさらに高めており、米国のリセッション(景気後退)懸念が広がっています。JPモルガンは、リセッション入りの可能性を60%に引き上げました。

プレミアム需要の行方が焦点に

JPモルガンのアナリスト、ジェイミー・ベイカー氏は、プレミアムクラスの需要がリセッション下でも持続するかが最大の不確実要因と指摘しています。伝統的に、デルタ航空、アメリカン航空、ユナイテッド航空の3大航空会社は、景気後退時に格安航空会社よりも業績が劣る傾向にあります。

株価見通しとアナリストの評価

レイモンド・ジェームズのアナリストであるサヴァンティ・シス氏は、デルタ航空の株価に対して「ストロング・バイ」の評価を維持しており、目標株価を62ドルに設定しています。これは現在の水準から約60%の上昇余地があることを示しています。ただし、同氏もまた、今週の関税発表と市場の急落がさらなる需要減少につながる可能性を指摘しています。

デルタ航空の今回の決算発表は、旅行業界のみならず、アメリカ経済全体の先行きを占ううえでも重要な材料となっています。今後の動向に注目が集まります。

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