2025年4月に入り、米国株式市場では関税ショックによる混乱が広がっています。関税はここ100年で最も高い水準に達し、市場全体に不安が蔓延しています。S&P500は年初来で2桁の下落を記録し、5,000ポイント付近でもみ合いが続いています。そんな中で投資家が注目すべきなのは、関税リスクの少ない銘柄や、逆風の中でも業績改善の兆しがある企業です。
本記事では、シティグループ(C)と米国みずほ証券のストラテジストが注目する、関税に強い18銘柄をご紹介します。
シティグループ:関税影響を織り込んだ銘柄に注目
シティグループの米国株ストラテジスト、スコット・クロナート氏は、割引キャッシュフロー(DCF)を用いた分析から、関税の影響をある程度織り込んだ場合のS&P500のフェアバリューを4,700ポイントと試算しています。とはいえ、これは感情的な売りや政策の混乱といった定量化が難しい要素を含まない前提です。
同氏は、関税による逆風下でも自己資本利益率(ROE)を改善できる可能性がある企業群を抽出しました。具体的には、利益率の拡大や負債削減(デレバレッジ)が期待できる企業が中心です。
このスクリーニングによって選ばれた企業の多くは金融・テクノロジー・エネルギーセクターに集中しています。
【注目銘柄】
- バンク・オブ・アメリカ(BAC)
- キャピタル・ワン・ファイナンシャル(COF)
- USバンコープ(USB)
- シチズンズ・ファイナンシャル(CFG)
- テラダイン(TER)
- マイクロン・テクノロジー(MU)
- コテラ・エナジー(CTRA)
- ファースト・ソーラー(FSLR)
- デイフォース(DAY)
- エクスパンド・エナジー(XPX)
ただし、金融セクター全体が下落局面にあることもあり、慎重な見極めが求められます。
米国みずほ証券:関税の影響が少ない消費・エネルギー株に注目
米国みずほ証券は、関税の影響を受けにくく、かつ株価がセクター全体から乖離している銘柄や、短期的なカタリストが見込まれる企業を選定しています。
その中でも特に注目されているのが食品メーカーのUTZブランズ(UTZ)です。関税の影響を受けにくい国内向けの製品を中心に展開しており、経済の不透明感が高まる中で「ストレス食い」需要による恩恵も期待されています。
また、低価格帯のクルーズを展開するカーニバル(CCL)も、バリュエーション面での魅力があるとされています。米国の旅行需要には変動が見られていますが、予算重視の旅行者にとっては有力な選択肢となる可能性があります。
【その他の注目銘柄】
- トラクター・サプライ(TSCO)
- チューイ(CHWY)
- コノコフィリップス(COP)
- ユナイテッドヘルス・グループ(UNH)
- ドアダッシュ(DASH)
- アリババ・グループ(BABA)
これらの企業は、主に米国内市場でのビジネスが中心で、グローバルなサプライチェーンに依存していない点が評価されています。アリババについても中国の国内市場に集中しているとしています。
投資家は慎重な姿勢が必要
現在の市場環境では、いかなる推奨銘柄にも注意が必要です。一時的な反発は「だまし上げ」に終わる可能性もあり、政策実行の不透明さが投資家心理を冷やしています。
このような状況では、短期的な利益を狙うよりも、長期的な視野で銘柄選定を行うことが大切です。関税という予測不能な要因に備えるためには、確かなビジネス基盤と財務の安定性を持つ企業に注目する必要があります。