データ解析を専門とするソフトウェア企業、パランティア・テクノロジーズ(PLTR)の株価が、波乱含みの展開となっています。連邦政府の支出削減に対する懸念や株式のファンダメンタルズが投資家心理を揺さぶっています。
市場全体に反して上昇したパランティア株
週明けの4月7日、パランティアの株価はプレマーケットで大きく下落したものの、市場が始まると上昇に転じ、終値は5.17%高の77.84ドルとなっています。前週金曜の4日には11%の急落を記録しており、株式のボラティリティが顕著です。
テクノロジー株全体の指標であるiシェアーズ・エクスパンデッド・テック・ソフトウェア・セクターETFは、年初来で19%の下落となっていますが、パランティア株は同期間で0.7%の上昇を維持しており、過去12か月では231%の大幅な上昇を見せています。
高バリュエーションと高ベータが懸念材料に
パランティアの株価は過去の高値から下落しているとはいえ、そのバリュエーション(企業価値評価)は依然として高く、市場全体と比べても割高な水準にあります。また、同社の株式は高ベータ(市場変動に対する感応度)であるため、ボラティリティが高く、投資家にとってリスクが高まる要因となっています。
政府契約に依存するビジネスモデルと支出削減の影響
パランティアは米国防総省など、政府との契約に大きく依存している企業です。そのため、連邦予算削減の動きが株価に直接的な影響を与えています。3月には国防長官のピート・ヘグセス氏が5億8000万ドル超の予算削減を指示し、パランティアのソフトウェアプロジェクトが影響を受ける可能性が指摘されました。
軍事技術への支出優先がパランティアにとっての追い風に
ただ、米国防総省は年間500億ドル規模の予算削減を提案する一方で、無人機(ドローン)や先端軍事技術への投資は優先する方針を示しています。これらはまさにパランティアが強みとする領域であり、同社にとっては新たな契約獲得のチャンスでもあります。
ウィリアム・ブレアの分析によると、今後の上昇余地も
証券会社ウィリアム・ブレアのアナリストは、パランティアには短期的な上昇の可能性があると見ています。特に米陸軍からの新たな契約獲得や、既存プラットフォームの後継開発の中止が同社にとってプラス材料となるとしています。
歴史が示すパランティアの回復力
パランティアは2020年に新型コロナウイルス関連の政府契約によって急成長し、同年に株式公開(IPO)を果たしました。当時は米連邦準備制度理事会(FRB)がゼロ金利政策を継続し、インフレは一時的との見方が支配的でした。
しかし2022年にインフレの長期化が明らかとなり、FRBは利上げを開始。それによりS&P500は弱気相場に転じ、パランティア株は2022年12月に過去最低の6ドルまで下落しました。その後2023年には340%の急騰を見せており、回復力の強さを証明しています。
今後の投資判断は慎重に
現在の高バリュエーションと市場変動の大きさを考慮すると、パランティア株は慎重な投資判断が求められます。一方で、過去の回復実績や国防関連技術に対するニーズの高まりは、同社の成長ポテンシャルを示唆しています。今後の動向を注視する必要があります。
*過去記事はこちら パランティア PLTR