モルガン・スタンレーのストラテジストチーム(主導:マイク・ウィルソン氏)は、今後の米国株式市場について警戒を強めています。2025年4月4日現在のS&P500指数は5,074.08ポイントですが、同チームはさらなる下落の可能性があると指摘しており、次のサポートラインを4,700ポイントと見ています。
この水準は、テクニカル指標の一つである200週移動平均線に近く、より強固なバリュエーションが見込めるとされています。
売り圧力の継続と背景
モルガン・スタンレーは、先週3日には5,100ポイントを「下値支持ライン」として提示していましたが、その後の急激な売りの加速を受け、サポートレベルを引き下げました。S&P500先物は7日に3%以上下落、ダウ平均先物も1,200ポイントを超える下げを見せており、市場のセンチメントが一段と悪化しています。
このような展開の背景には、トランプ大統領による「グローバル相互関税」の発表が大きく影響しています。また、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は4日に「経済の反応を見極める」と述べ、積極的な緩和には慎重な姿勢を見せました。
企業収益の見通し悪化とその影響
ウィルソン氏らは、今年に入ってから多くの銘柄が軟調に推移していると指摘しています。その要因としては、企業収益予想の下方修正が相次いでいることが挙げられています。今後も、関税の影響で企業心理が冷え込み、さらなる下方修正が続くとみられています。
特に、経済動向に連動しやすい「循環株」がディフェンシブ銘柄に比べて40%以上も劣後しており、市場全体の成長懸念が根強いことを示しています。
投資戦略:大型・高品質・ディフェンシブ銘柄に注目
モルガン・スタンレーのストラテジストたちは、今の相場環境においては高品質かつ大型株、そしてディフェンシブ銘柄に投資妙味があると考えています。
その一例として、「アメリカン・タワー(AMT)」を新たに「フレッシュマネー・バイリスト」に追加し、「イートン(ETN)」と入れ替えています。アメリカンタワーはディフェンシブ性を持ちつつ、金利低下局面では成長性も見込める銘柄です。
このほかにも、以下の企業が注目銘柄として挙げられています。
- センターポイント・エナジー(CNP)
- コカ・コーラ(KO)
- コルゲート・パルモリーブ(CL)
- マクドナルド(MCD)
- ノースロップ・グラマン(NOC)
- プログレッシブ・コーポレーション(PGR)
- パブリック・サービス・エンタープライズ(PEG)
- ウォルマート(WMT)
小型株は慎重な見極めが必要
一方で、小型株については今後もしばらくは厳しい局面が続くと見られています。経済の不透明感に対する感応度が高く、業績見通しも下方修正が続いています。
ただし、小型株の中にも質の高い銘柄は存在しており、以下の分野が相対的に有望とされています。
- 金融サービス
- ソフトウェア
- 通信サービス
- バイオテクノロジー
- 日用品・パーソナルケア製品
今はまだ「底値拾い」を行うタイミングではないものの、引き続き注視していく価値がある分野です。
まとめ:不透明な市場環境における守りの投資戦略
関税政策の先行きとFRBのスタンス次第では、株価がさらに下押しされる可能性が高まっています。その中で、投資家は高品質・ディフェンシブな大型株を中心としたポートフォリオを構築することが、今の局面において有効な戦略といえそうです。