米国株大幅下落でも今が買い時?プロが注目する割安優良銘柄7選

2025年4月初旬、株式市場は大きな波乱に見舞われています。S&P500指数は2日間でおよそ10%の急落(出典:S&P Dow Jones Indices)となり、年初来では13.7%の下落となりました。この背景には、トランプ大統領による新たな関税政策が深く関係しています。

しかし、株価が下がる局面は優良企業を割安で購入するチャンスでもあります。米国の投資情報誌『バロンズ』では、こうしたタイミングで再評価すべき代表的企業が紹介されています。この記事では、その内容を基に独自の視点を加え、なぜ今これらの銘柄が注目されるのかを分析していきます。

トランプ大統領の関税政策が市場に与えた影響

今回の市場の混乱は、米中間の貿易摩擦の激化によって引き起こされています。特に中国が米国製品に34%の関税を課したことが、投資家心理を冷やしました。とはいえ、3月の米雇用統計は堅調であり、経済の基礎的な部分には依然として力強さが見られます(出典:米労働省)。

ニューヨークのある資産運用会社のマネージングパートナーによれば、トランプ大統領は市場の反応に敏感であり、政策の柔軟な見直しも排除されないという見方が出ています。実際、ベトナム製品に対する関税に関しては和らぎの兆しを見せており、一部の株式が反発する動きも見られました。

今こそ注目したい「割安な業界トップ企業」

『バロンズ』では、防御的セクターではなく、現在売り込まれているものの、将来性のある業界のリーディングカンパニーに注目する投資戦略が紹介されています。以下は特に注目すべき7銘柄です。

JPモルガン・チェース(JPM)

銀行業界のトップを走るJPモルガン・チェースは、資本基盤の強固さやテクノロジー投資、そして業界における規模の優位性から、他の銀行と一線を画しています。ある銀行業界アナリストの見解によれば、同行は今後の規制緩和局面でも恩恵を受けやすく、長期的な市場シェア拡大の余地があるとされています。

短期的には、景気減速懸念から信用リスクへの懸念が残るものの、1.3兆ドルに上る融資残高に対する適切なリスク管理と、高い自己資本比率が評価されています。現在の株価は2月の高値から25%下落しており、2025年予想PERは約11.5倍、配当利回りは2.7%と、長期保有を前提とする投資家にとって魅力的な水準にあります。

デルタ航空(DAL)

航空業界の中でも、デルタ航空は利益率の高いプレミアムシートやアメリカン・エキスプレスとの提携による収益力の高さで知られています。2025年の業績見通しは下方修正されましたが、それでも株価は2020年と同水準の37ドル台まで下落しており、2025年予想PERは約6倍と極めて割安です。

アナリストの間では、航空業界全体の需要が減速しているにもかかわらず、同社のブランド力やロイヤルティ・プログラムの優位性が今後の業績回復を支えるとの声があります。長期的な目標株価として現在の2倍以上の水準を提示するケースも出ています。

レナー(LEN)とD.R.ホートン(DHI)

住宅建設業界は、関税による建築資材コストの上昇懸念に直面しています。トランプ大統領の政策によって、新築住宅の価格が5,000~10,000ドル程度押し上げられる可能性があるとの見方もあります。しかし、その中でもレナーとD.R.ホートンは、それぞれ全米シェア約10%を誇るトップ企業であり、資本構成が健全である点が評価されています。

ファンドマネージャーの一人は、D.R.ホートンを「住宅業界のコストコ」と評し、コスト競争力と効率的なオペレーションに強みがあると分析しています。さらに、長期金利の低下傾向が続けば、住宅ローン金利も6%程度まで下がる可能性があり、住宅購入意欲の回復が期待されます。

アマゾン・ドット・コム(AMZN)

アマゾン・ドット・コムは、直近の株価が171ドルまで下落し、年初来で29%の下落を記録しています。しかし、同社の利益の80%はクラウド事業(AWS)と広告収入によるものであり、EC事業のみに依存しているわけではありません。

市場関係者の中には、関税の影響で消費者需要が減速し、物流コストも上昇する懸念があるとする声もありますが、それでもアマゾンのクラウド・広告分野でのリーダーシップは揺るがないとする見方が優勢です。

エクソン・モービル(XOM)

エネルギーセクター全体が原油価格の変動で打撃を受けている中、エクソンモービルは上流(探鉱・生産)から下流(精製・化学)までバランスの取れたビジネスモデルを持っています。株価は約104ドルで、予想PERは14倍。配当利回りは3.8%と高く、インカム狙いの投資家にも魅力的です。

アナリストの中には、同社がガイアナ沖の巨大油田開発において業界をリードしている点を評価し、低炭素投資にも慎重な姿勢を維持することで資本効率を高めていると指摘する声もあります。

フリーポート・マクモラン(FCX)

コモディティ価格が不安定になる中で、通常は敬遠されがちな資源株ですが、フリーポート・マクモランは例外です。株価は年初来で23%下落し、現在は1株29ドル程度。しかし、銅価格は今年に入ってから4.50ドル/ポンドと上昇しており、同社の業績を支えています。加えて、金価格も過去最高水準を更新しており、同社の収益を後押ししています。

証券アナリストの中には、米国内の銅資産が市場に十分に評価されていないとする声があり、長期的には株価が50ドル近くまで回復する可能性を示唆する見解もあります。銅は再生可能エネルギーや電気自動車の普及により、今後の需要拡大が見込まれており、中長期的に注目すべき分野です。

不安定な相場でも、攻めの視点を持つことが重要

市場が下落局面にあると、多くの投資家は防御的な姿勢を取りがちですが、むしろ今こそ業績の強い企業を見直す好機となり得ます。『バロンズ』の記事の内容からも読み取れるように、現在の混乱を短期的な売りの機会ではなく、長期的な投資チャンスと捉えることが、資産形成において大きな差を生む可能性があります。

最新情報をチェックしよう!
>

幸せな生活作りのための米国株投資。
老後資産形成のための試行錯誤の日々を報告していきます。
皆様の参考になれば幸いです。

CTR IMG