4月3日の米国市場でエヌビディア(NVDA)の株価が7.81%下落しました。これは、ドナルド・トランプ大統領が発表した新たな関税措置により、同社のビジネスが打撃を受けるのではないかという懸念が市場に広がったためです。
トランプ大統領が4月9日より発効するとした新関税には、中国製品に対する34%、ベトナム製品に対する46%、インド製品に対する26%などが含まれており、多くの国を対象にしています。中国に対する関税率は既存のものと合わせると最大79%に達する可能性があります。ホワイトハウスは半導体を当面の対象外としていますが、今後チップにも課税される可能性があるとの見方もあります。
エヌビディアは関税に対して耐性があるとCEOが発言
今回の株価下落とは対照的に、エヌビディアの最高経営責任者であるジェンセン・フアン氏は、わずか2週間前のGTCカンファレンス(3月19日開催)で、同社は関税や不況の影響を受けにくいと述べていました。
「関税は短期的には多少の影響を与えるでしょうが、当社の見通しに大きな打撃を与えるものではありません」とフアン氏は財務アナリストに語り、エヌビディアが貿易戦争にうまく対応できるという自信を見せました。
また同氏は、台湾セミコンダクター(TSMC)がアリゾナ州で追加のチップ工場建設に1000億ドルを投資することを引き合いに出し、エヌビディアもすでに同州でチップ製造を行っており、今後さらに国内生産を拡大していく方針を示しました。
「国内での製造能力は懸念事項ではありません。必要に応じて、米国でAIハードウェアやチップの製造を増やしていく予定です」とコメントしています。
投資家は貿易戦争の経済影響にも懸念
3日の株価下落は、関税だけでなく、貿易戦争の影響による景気後退や経済成長の鈍化に対する懸念も影響しています。ナスダック総合指数(COMP)は同日、5.97%下落しました。
エヌビディアの主要顧客には、メタ・プラットフォームズ、アルファベット(GOOGL)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)、マイクロソフト(MSFT)などがあります。これらの企業は消費者支出や企業のIT予算に大きく依存しており、景気悪化の影響を受けやすい構造にあります。
AIへの投資は景気後退でも継続か
それでもフアン氏は、景気が鈍化したとしてもAI関連の投資は続くと主張しています。「もし不況が訪れた場合でも、AIに取り組む企業は逆に投資を加速させる可能性があります」と語り、「すべてのCEOは、成長の可能性がある分野に注力すべきことを理解しています」と述べています。
エヌビディアはこれまで好景気の波に乗って急成長してきましたが、同社のCEOは困難な状況においても新たなチャンスを見出す姿勢を崩していません。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA