米国株市場でテクノロジー株が大幅に下落し、中でも「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる主要銘柄が集中して売られました。この7銘柄は4月3の取引で合計1兆ドルもの時価総額を失い、1日における下落としては過去最大となりました。これは2023年3月10日に記録された7,587億ドルの損失を大きく上回るもので、市場への影響は非常に大きなものとなっています。
アップルは過去最大の時価総額減少
中でも最も大きな打撃を受けたのがアップル(AAPL)です。株価は9.3%下落し、時価総額で3,110億ドルもの減少となりました。投資家が懸念しているのは、海外生産に関するリスクです。アップルは中国での生産に依存しており、近年ではインドやベトナムなどに生産拠点を拡大していますが、これらもドナルド・トランプ大統領によって発表された新たな関税の対象になる可能性があります。
証券会社ジェフリーズのアナリスト、エジソン・リー氏は「アップル製品が関税の対象となれば需要が減少し、サプライチェーンにも悪影響を及ぼす」と述べています。ただし、アップルは米国への5,000億ドルの投資計画を発表しており、これが関税の免除に向けた材料となる可能性も指摘されています。
アマゾンも大幅下落、幅広い影響を懸念
アマゾン(AMZN)の株価も9%下落しました。ベアードのアナリストであるコリン・セバスチャン氏は、アマゾンが関税の影響を最も受けやすい企業の一つであると述べており、広告、エンタープライズ技術支出、インフラコスト、ECボリュームなど、多岐にわたる業務に影響が及ぶと見られています。
メタとアルファベットも広告依存の影響
メタ・プラットフォームズ(META)の株価も9%下落しました。フェイスブックを運営する同社は広告収入への依存度が高く、広告支出の縮小が大きな打撃となっています。アルファベット(GOOG、GOOGL)は広告事業に加えてクラウド事業も展開しているため、比較的影響は軽微とされますが、それでも株価は約4%の下落となりました。
また、メタは中国のEC企業であるTemuやSheinからの広告収入にも依存しており、トランプ大統領が「ディ・ミニミス」制度の見直しに言及したことで、これらの企業の米国市場からの撤退リスクが懸念されています。
エヌビディアも7.8%の下落、間接的な関税の影響
エヌビディア(NVDA)は7.8%の下落となりました。半導体そのものは今回の関税対象から除外されているものの、半導体を含む完成品には関税が課される見通しであり、その影響が懸念されています。ウォルフ・リサーチのアナリストであるクリス・カソ氏は、「供給先を他に移す現実的な代替手段がないため、影響は避けられない」と指摘しています。
テスラも5.5%下落、自動車以外にも広がる関税
テスラ(TSLA)の株価は5.5%下落しました。自動車関税の影響を織り込んでいた投資家にとって、それ以上の影響範囲が示されたことがさらなる売り材料となりました。ドイツ銀行のエジソン・ユー氏は、「消費者が吸収すべき関税が自動車にとどまらず、非米国製部品に対する高関税も含まれている」と述べています。
ただし、テスラとフォード(F)は、調達先の多様性と製造拠点の配置から、比較的有利な立場にあるとも評価されています。
マイクロソフトは2.4%の下落にとどまる
一方で、マイクロソフト(MSFT)の株価は2.4%の下落と、比較的小幅な動きとなりました。同社は一部のハードウェア製品を扱っているものの、主力はソフトウェアとクラウドサービスであり、直接的な関税の影響は限定的です。
エバコアISIのアナリスト、カーク・マターン氏は「ソフトウェア面での影響は需要の変化に帰着する。関税に関連する不確実性は短期的な支出計画にマイナス要因となる」と分析しています。