米電気自動車大手のテスラ(TSLA)の株価は4月2日の米国市場で、2025年第1四半期の納車台数が市場予想を大きく下回った直後、一時下落しましたが、その後は回復基調となりました。背景には、イーロン・マスク氏が政府での役職を今後数週間で退く意向であるという報道が影響しています。
この報道は、政治メディア「Politico」によるもので、3人の関係者の話として伝えられました。ホワイトハウスからの公式なコメントは現時点では発表されていませんが、トランプ大統領は記者団に対し、「彼をできる限り引き留めたい。非常に優秀な人物だ」と述べています。
納車実績は過去最悪の減少、だが株価は回復
テスラは2025年第1四半期に336,681台の車両を納車したと発表しました。これはアナリストの平均予想である約378,000台を10%以上下回る結果で、最も悲観的な見通しと比較しても約2万台の差があります。前年同期比で13%の減少となり、四半期ベースで過去最大の減少幅となりました。
このニュースを受け、テスラ株は一時251.27ドルまで下落しましたが、その後は回復し、正午過ぎの取引では5.2%上昇の282.3ドルをつけています。
年初からの下落率は30%に達し、2024年12月中旬に記録した過去最高値489ドルからは42%の下落となっています。
納車予想の低下とブランドイメージの懸念
昨年12月以降、アナリストの納車予想は470,000台から380,000台へと大きく引き下げられました。こうした下方修正には、2つの主な要因があります。
第一に、マスク氏の政治的活動が一部の主要な購入層にネガティブな影響を与えている点です。テスラは環境志向の消費者に強く支持されてきましたが、その多くはリベラルな立場の人々であり、政治的発言がブランドイメージに影響を与えるリスクが指摘されています。
ウェドブッシュ証券のアナリストであるダン・アイブス氏は、「この数字はすべての指標で見ると壊滅的だ」とし、「マスク氏はワシントンD.C.とテキサス州オースティンの間で時間の使い方を見直すべき」と述べています。同氏はテスラ株を「買い」と評価し、目標株価を550ドルに設定しています。
モデルYの更新と納車の空白
テスラは主力車種であるモデルYのアップデートを行いましたが、これが短期的に販売に空白を生んだ可能性があります。新モデルの登場を待つ顧客が購入を控えた結果、需要が一時的に低下したと見られます。
生産台数は362,615台で、前年同期比で16%、前四半期(2024年第4四半期)比では21%の減少となりました。納車とのギャップが26,000台にのぼるのは、テスラとしては大きめです。
アナリストは、第1四半期の納車台数が360,000台を超えていれば、株価の下支えになったと見ています。しかし今回の結果により、さらなる株価の下落リスクが浮上しています。
Future Fund Active ETFの共同創業者であるゲイリー・ブラック氏は、「今回の結果は、2025年通期の納車予想と利益予想を引き下げる要因になる」と述べています。
今後の注目はロボタクシーとマスク氏の専念度
2024年の第1四半期にも、テスラは387,000台の納車を発表し、予想の425,000台を大きく下回りました。当時も事前に予想が引き下げられていたにも関わらず、市場にとってはネガティブサプライズとなり、株価は数週間で約30%下落しました。140ドル付近で底を打ち、回復のきっかけとなったのは、イーロン・マスク氏による「ロボタクシーイベント開催」の発表でした。
実際のロボタクシーデーは2024年10月10日に実施され、数百万台の自動運転車による収益化の可能性が投資家の期待を集めました。
テスラは2025年6月にテキサス州オースティンで自動運転タクシーのサービス開始を予定していますが、詳細は4月下旬の決算発表で語られる見通しです。
とはいえ、今回の株価反応が示す通り、投資家がもっとも望んでいるのは、マスク氏が政治的活動よりもテスラの事業に集中することです。
*過去記事はこちら テスラ TSLA