ドナルド・トランプ大統領が「解放の日(Liberation Day)」と呼ぶ相互関税発表の日を前に、市場では再び貿易関税の強化が引き金となる世界的な貿易戦争への懸念が高まっています。しかし、投資家にとって朗報もあります。ゴールドマン・サックスは、こうした市場の変動期にも強さを発揮する注目銘柄のリストを公開しました。
この「鈍感ポートフォリオ(Insensitive Portfolio)」と名付けられたリストは、株式市場のボラティリティに対して比較的影響を受けにくい企業を選定しています。特に貿易摩擦や米国経済の成長鈍化、人工知能の影響といったテーマに対して感応度が低いと評価された銘柄が中心です。
S&P500は短期下落、長期上昇の見通し
ゴールドマン・サックスの株式ストラテジストは、今後3か月でS&P500(SPX)が約6%下落し5,300前後まで調整すると予測しています。ただし、12か月後には5,900まで回復し、現在の水準より5%程度の上昇が見込まれています。これは2025年2月に記録した史上最高値6,150には届かないものの、安定した成長といえます。
最も安定した企業:アムドックス
「鈍感ポートフォリオ」の筆頭に挙げられたのは、請求ソフトウェアを提供するアムドックス(DOX)です。この企業は、米国の経済成長見通しや貿易リスク、AIによる混乱といった市場テーマに対して最も感応度が低いと評価されました。
金融・小売・自動車サービスなど多様なセクターが選出
アムドックスに続き、以下のような企業もポートフォリオに選ばれました。
- バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BK)
- 食品小売大手のクローガー(KR)
- 自動車サービスのバルボリン(VVV)
- 格付け機関のS&Pグローバル(SPGI)とムーディーズ(MCO)
特筆すべきは、いわゆる「マグニフィセント・セブン」の1社であるグーグルの親会社アルファベット(GOOGL)もこのリストに名を連ねていることです。
2025年に入り、S&P500が5%下落するなか、このリストに掲載された45銘柄の年初来トータルリターンの中央値は1%と、安定性が際立っています。
医療機器株は「安全資産」として再評価
医療機器関連の銘柄も多く含まれており、次のような企業が選ばれました。
- ボストン・サイエンティフィック(BSX)
- メドトロニック(MDT)
- サーモフィッシャー・サイエンティフィック(TMO)
- マシモ(MASI)
ホーメステッド・ファンズの株式投資責任者であるジム・ポーク氏は、「医療株はディフェンシブな特徴が強い」と述べ、医療関連株が政治的攻撃の対象になりやすい一方で、薬品会社とは異なる性質があるとしています。
配当利回りが魅力の公益株も選定
安定した配当を求める保守的な投資家にとって、公益事業株も注目の的です。以下の企業がポートフォリオに組み込まれています。
- PG&E(PCG):2023年末に6年ぶりの配当を再開。以前はカリフォルニア州の山火事関連の賠償問題で破産を申請。
- センターポイント・エナジー(CNP):配当利回りは約2.5%。
クォンタム・ファイナンシャル・アドバイザーズの社長でCIOであるジョー・リナルディ氏は、「公益株は市場が不安定な時期に下落幅が小さいため、低リスクで高配当が得られる魅力がある」と述べています。
まとめ:市場変動期こそ「鈍感ポートフォリオ」が有効
不透明感の強まる経済環境のなか、株式市場は引き続き波乱含みとなる可能性があります。そのような状況でも安定したパフォーマンスを維持する企業に注目することで、投資リスクを抑えながら資産を守る選択が可能です。ゴールドマン・サックスが推奨する「鈍感ポートフォリオ」は、まさにその戦略の一環として有力な選択肢となり得ます。
今後も米国株市場の動向に注視しながら、こうした安定性の高い銘柄の情報を継続的にチェックしていくことが、長期的な投資成果を得るためのカギとなります。