パランティア・テクノロジーズ(PLTR)の株価は、世界的な貿易戦争への懸念が高まる中、3月31日に5営業日連続で下落し、一時5.9%安の80.79ドルとなりました。S&P500種株価指数は0.89%下落し、ナスダック総合株価指数は2.3%の下げを記録する中、ハイテク株全体が売られる展開となりました。
この株価下落の背景には、ドナルド・トランプ大統領が4月2日の「解放の日」に関税撤廃を発表する可能性があるという報道があり、投資家心理が揺らいでいることが挙げられます。ハイテク株全体が売られる中で、パランティアの下落には独自の要因も影響しています。
モルガン・スタンレーによる業績懸念が影響
モルガン・スタンレー・リサーチのアナリストは先週3月28日に発表したリポートの中で、貿易摩擦や関税、さらには政府支出の削減が、IT支出の需要を抑制するリスクを指摘しました。特に、連邦政府との取引依存度が高いパランティアにとって、業績への影響が無視できないとしています。
パランティアは、米国政府の主要な請負企業の一つであり、2024年度の総収入約19億ドルのうち、約12億ドルが連邦政府からの契約に依存しています。そのため、政府支出の縮小が株価に与える影響は大きく、2月以降、軍事支出の見直しが進む中で株価は軟調に推移しています。
評価の高さとボラティリティの大きさも不安材料に
株価をさらに圧迫している要因として、パランティアの高い株式評価が挙げられます。同社の株価は、12ヶ月先の予想利益の149.57倍で取引されており、S&P500の平均(約20.16倍)と比較して非常に割高です。
さらに、パランティアは「高ベータ株」としても知られています。3年ベータ値は1.8となっており、市場全体よりも値動きが激しいことを意味します。これは、テスラ(TSLA)やラム・リサーチ(LRCX)と並ぶ水準であり、市場が不安定な状況では特にリスクが大きい銘柄と見なされがちです。
マクロ経済の変化により選別が進む中、リスク高い企業は警戒対象に
モルガン・スタンレーのアナリストは、第4四半期と比較して市場の基調に変化が見られると指摘しています。現在のような不透明なマクロ環境下では、規模が大きく支出モデルに依存する企業ほどリスクが高くなる傾向があります。
そのため、同社は、利益率の拡大が期待されるインテュイット(INTU)やワークデイ(WDAY)、オートデスク(ADSK)といった企業や、フォーティネット(FTNT)、パロアルトネットワークス(PANW)のように経済の変動から比較的影響を受けにくい企業を推奨銘柄としています。
まとめ:高成長もリスクと隣り合わせのパランティア
パランティアは、2025年3月31日時点で年初来11%以上の上昇を記録しているものの、軍事予算の削減やマクロ経済の不透明感、高い評価とボラティリティといった複数のリスク要因が株価の重しとなっています。成長期待の高い銘柄である一方で、投資家にとっては慎重な見極めが求められる局面に入っています。
*過去記事はこちら パランティア PLTR