エヌビディア(NVDA)の株価は低迷が続いていましたが、ウォール街のアナリストが人工知能(AI)チップ「ブラックウェル」の増産に前向きな見解を示したことを受け、第2四半期に向けて好転の兆しが見られています。
株価は第1四半期で20%下落、過去最高値から27%下回る水準に
3月31日の取引でエヌビディアの株価は1.2%下落し、これで5営業日連続の下落となりました。第1四半期全体では約20%下落し、1月6日に記録した過去最高値からは27%下回る水準で終えています。
エヌビディアの株価が下落している背景には、同社の事業運営自体の問題というよりも、米国の大型テクノロジー株、いわゆる「マグニフィセント・セブン」全体に対する投資家心理の悪化があります。このセンチメントの変化が同社の株価にも影響を及ぼしています。
市場全体の懸念とAIに対する期待の揺れ
市場では、ドナルド・トランプ大統領による関税政策が経済成長に悪影響を与え、インフレを加速させるとの懸念も広がっています。これにより、市場全体にネガティブなムードが漂っており、AI分野における成長期待もやや過熱気味との見方が出ています。
こうした中で、エヌビディアのみならず、TSMC(TSM)は年初から16%下落、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は15%下落、アーム・ホールディングス(ARM)は13%下落するなど、チップ関連株全体に売り圧力がかかっています。
AIチップ「ブラックウェル」の増産に明るい兆し
3月31日の米国市場では午前の取引で大きく値を下げていたエヌビディアの株価ですが、午後に入り、市場全体とともに持ち直す動きが見られました。そして4月1日となり、オッペンハイマーのアナリストであるリック・シェーファー氏が発表したリサーチノートが市場に安心感を与えています。
同氏はアジアにおけるエヌビディアのサプライチェーンを調査した結果、「ブラックウェル」AIチップの生産が本格化していると報告しました。さらに、エヌビディアは2025年中にNV72液冷ラックシステムを3万台〜5万台出荷する可能性が高いと述べています。これは複数のグラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)をネットワーク接続した高度なAI向けシステムです。
一部報道では生産遅延の懸念も指摘されていましたが、現地での聞き取り調査では「ブラックウェル」の生産における問題はすでに解消に向かっているとの声が多く、状況は改善しているようです。
エヌビディア株の今後に注目
現在の株価低迷は、同社のビジネスファンダメンタルズというよりも、市場全体のセンチメントに大きく左右されている状況です。しかし、AIチップ「ブラックウェル」の順調な生産と出荷が進めば、第2四半期以降、再び上昇トレンドへと転じる可能性も見えてきます。
AI分野の需要拡大が続く中で、エヌビディアがどのように技術革新と供給体制の強化を進めていくのかが、今後の株価動向を左右する重要なカギとなりそうです。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA