ゴールドマン・サックス、S&P500の目標を引き下げ―米国経済の景気後退リスクを警戒

  • 2025年3月31日
  • 2025年3月31日
  • BS余話

米国の大手投資銀行であり、ウォール街で最も影響力のある金融機関のひとつであるゴールドマン・サックス(GS)は3月31日、S&P500種株価指数の目標を引き下げるとともに、来年にかけて米国が景気後退に陥るリスクが高まっていると発表しました。これは、ドナルド・トランプ大統領による関税政策が米国経済に与える影響を懸念した内容となっています。

成長見通しに対するゴールドマンのスタンスの変化

ゴールドマン・サックスはこれまで、米経済に対して一貫して楽観的な見通しを示してきた企業です。特に、2022年から始まった米連邦準備制度理事会(FRB)による急速な利上げが、景気を大幅に冷え込ませることはないという見解を持っていました。しかし今回、ゴールドマンのストラテジーチームおよび経済分析チームの両方が、より慎重な見方を示しています。

S&P500の今後の見通し

デビッド・J・コスティン氏が率いる株式ストラテジーチームは、S&P500が今後3ヶ月で約5%下落し、5,300になると予測しています。また、12ヶ月後の水準については6%上昇の5,900になると見込んでおり、これまでの成長期待に比べて控えめな見通しを示しています。加えて、2025年の企業収益成長率予想も引き下げられました。

景気後退リスクの上昇とインフレ見通しの修正

一方で、ヤン・ハツィウス氏が率いるエコノミクスチームは、今後12ヶ月以内に米国が景気後退に陥る確率を従来の20%から35%へと引き上げました。これは、トランプ大統領が「解放の日」と表現する輸入品への新たな関税導入が、現実味を帯びてきたことによるものです。

この影響により、インフレが加速し経済成長は鈍化するとの見方が強まっています。年末時点でのコア個人消費支出(PCE)指数ベースのインフレ率は3.5%に達すると予想されており、FRBが目標とする2%を大きく上回る水準です。これにより、ジェローム・パウエル議長による利下げは難しくなると見られています。

GDP・失業率の予測も下方修正

ゴールドマン・サックスは、2025年末までの米国の実質国内総生産(GDP)成長率の予測を従来の2%から1%へと引き下げました。また、失業率の予測についても4.2%から4.5%に修正されており、労働市場にも影響が及ぶことが示唆されています。

投資戦略におけるヒントと市場の楽観材料

株式ストラテジーチームは、現在の相場においても明るい材料を探しています。センチメント・インディケーター(投資家心理を示す指標)は大きく低下しているものの、過去の相場急落時と比較してまだ高い水準にあるとしています。そのため、利益の変動幅が比較的小さく、市場の主要テーマとの相関性が低い銘柄への投資を検討するようアドバイスしています。

また、最も前向きな見方として、ゴールドマン・サックスは今後12ヶ月のS&P500の上昇が継続すると見込んでおり、たとえその過程で市場に波乱があったとしても、中長期的な成長の可能性は残されていると評価しています。

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