TSMC株が年初来16%下落、それでも買いの理由とは?2025年の展望を解説

  • 2025年3月29日
  • TSMC

2025年に入り、TSMCで知られる台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSM)の株価は調整局面を迎えています。人工知能関連銘柄への投資の流れが一時的に落ち着いたことに加え、アメリカによる半導体への関税導入懸念や、同社の米国への大型投資が投資家心理に影響を与えています。

TSMCの米国預託証券(ADR)は、3月28日の時点で年初来16%下落しています。特に関心を集めているのが、ドナルド・トランプ大統領による対外半導体製品への関税方針です。TSMCは米国に総額1650億ドルの投資を約束しているものの、関税の免除対象となるかは依然として不透明です。

TSMCは関税の影響を限定的に抑える可能性

JPモルガンのアナリストであるゴクル・ハリハラン氏は、TSMCの事業構造により、仮に台湾からの直接輸出に対する関税が導入されたとしても、影響は限定的であると分析しています。というのも、TSMCの輸出の多くは他地域向けであり、米国向けの直接輸出は限定的だからです。

ただし、台湾から出荷された半導体が他国で組み込まれ、最終製品として米国に輸入される「間接的な関税」が課される場合には、影響の可能性があります。それでも、TSMCの市場での強い立場により、価格調整によって売上への影響を緩和できると見られています。また、米国への積極的な投資が、台湾製半導体への特定の関税措置を避ける一因となる可能性も指摘されています。

TSMCはインテルの救済案には関与しない見通し

最近の報道では、TSMCがインテル(INTC)の半導体製造部門の一部を買収、または合弁事業(JV)に参加する可能性が取り沙汰されてきました。TSMCがエヌビディア(NVDA)やブロードコム(AVGO)と協議していたという話も出ています。

しかし、ハリハラン氏は、TSMCがインテルとの合弁事業や救済案に関与する可能性は低いとしています。非常に高い財務的リターンや特別な状況下でなければ、TSMCがそのようなプロジェクトに関与することはないという見解です。

インテル側にとっては、即時の資金注入の見込みが薄れる一方で、自社のファウンドリー(受託製造)事業を引き続き自らの管理下に置ける点は、ポジティブに捉える投資家も存在します。

インテルの技術的優位は限定的、TSMCは今後も製造委託の中心に

インテルは、自社の「18Aプロセス」が2025年中にTSMCを凌駕する技術的優位性をもたらすとしていますが、JPモルガンの見解では、その影響は限定的と見られています。

むしろ、18Aプロセスの量産が予想より遅れていることから、インテルは今後さらに多くの製造プロセスをTSMCに外注せざるを得ない状況になる可能性が高いと指摘されています。

アナリストはTSMC株を「オーバーウェイト」に据え置き

ハリハラン氏は、TSMCの台湾市場での株価に対して1,500台湾ドルの目標株価を提示し、投資判断を「オーバーウェイト」に据え置いています。TSMCの台湾株は、28日の取引で0.6%下落し、952台湾ドルで取引を終えました。

TSMCのADRは同日に1.9%下落し、インテルの株価は4%下落しています。

TSMCにとって2025年は不透明な外部環境が続くものの、同社の圧倒的な市場シェアと戦略的な柔軟性は、今後の成長を支える大きな要因となりそうです。

*過去記事はこちら TSMC

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