ウォール街のアナリストたちは、一般的に楽観的な傾向がありますが、現在のように一部の大型株に対する評価が過剰になっている場合、慎重な視点が求められます。特に注目すべきは、いわゆる「マグニフィセント・セブン」の中でも、マイクロソフト(MSFT)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)、エヌビディア(NVDA)の3社です。
アナリストの「買い」評価が90%超の注目銘柄
データトレック・リサーチの共同創業者であるニコラス・コラス氏は、ファクトセットの調査結果を引用しながら、これら3社のアナリスト評価に警鐘を鳴らしています。マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、エヌビディアの各銘柄について、90%以上のアナリストが「買い」と評価しているのです。
これは、2025年第1四半期の決算発表を目前に控えた今、注視すべきポイントです。すでにこれらの株価は年初から大きく調整しており、投資家の期待が極めて高まっている中での決算発表となります。仮に売上やガイダンスが期待を下回る結果となれば、アナリストの一斉格下げが起こる可能性もあります。
S&P500の16%を占める3銘柄の重要性
コラス氏は、特にマイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、エヌビディアの3社が、S&P500指数の約16%を占めていることに言及しています。これらの企業が市場に対して強い影響力を持っていることから、決算結果とガイダンスの内容は、相場全体の方向性にも大きく関わると考えられます。
高評価銘柄に潜むリスク
この3社に限らず、アナリストの評価が非常に高い他の銘柄にも注意が必要です。たとえば、ユナイテッドヘルス・グループ(UNH)、デルタ航空(DAL)、ユナイテッド航空(UAL)も、90%以上のアナリストが「買い」と評価している銘柄です。
コラス氏は、「すでにほとんどのアナリストが高評価を与えているため、これ以上の格上げ余地は乏しく、格下げのリスクが高まっている」と指摘しています。こうした銘柄は、すでに広く知られ、投資家にとっても注目度が高い企業ばかりであり、市場で過小評価されているとは言えません。
アナリスト評価が低い銘柄にこそチャンスがある
一方で、アナリストの間で評価が低い銘柄には、上方修正による株価上昇のチャンスが潜んでいます。コラス氏は、「売り」や「ホールド」の評価が多い銘柄が、ポジティブなニュースをきっかけに評価が引き上げられると、大きな株価上昇を見せる可能性があると述べています。
特に「売り」から「ホールド」への格上げは、「ホールド」から「買い」への格上げと同様、強いインパクトを市場にもたらすことがあります。これは、「売り」評価自体が非常に珍しいためです。
売り評価が多いS&P500銘柄とは?
ファクトセットが発表した、アナリストの「売り」評価が多いS&P500銘柄のリストには、以下の企業が含まれています。
- フランクリン・リソース(BEN)
- T.ロウ・プライス(TROW)
- パラマウント・グローバル(PARA)
- コンソリデーテッド・エジソン(ED)
- サウスウエスト航空(LUV)
これらの銘柄はいずれも、25%以上のアナリストが「売り」と評価しています。。
過度な楽観には注意を
市場における人気銘柄の中には、すでに過度な期待が織り込まれているものも少なくありません。特にアナリスト評価が極端に偏っている場合、期待を下回る業績が発表された際のネガティブインパクトは大きくなります。
2025年の第1四半期決算シーズンでは、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、エヌビディアといった銘柄の動向に注目しつつ、過小評価されている銘柄に目を向ける戦略が、投資成果を左右する鍵になるかもしれません。