コアウィーブがIPOへ!AIクラウド急成長企業の全貌と投資リスクを徹底解説

  • 2025年3月28日
  • 2025年3月28日
  • BS余話

アメリカのAIクラウド企業コアウィーブ(CRWV)は、3月27日中に新規株式公開(IPO)の価格を決定する見込みです。株式は2025年3月28日金曜日、ナスダックにてティッカー「CRWV」で取引を開始する予定です。

先週の情報によると、コアウィーブの株式は1株あたり47ドル〜55ドルの価格帯が想定されており、これに基づく評価額は約270億ドル〜320億ドルに達します。ただし、最終的なIPO価格は投資家の需要に応じて変動する可能性があります。

コアウィーブの成長と事業モデル

コアウィーブは、AI専業のクラウドコンピューティング企業です。売上の全てがAIサーバーのクラウドレンタルによって構成されており、使用しているチップはすべてエヌビディア製です。コアウィーブは、2017年に暗号資産の採掘業者として設立されましたが、2018年の市場崩壊後にAIクラウドへと事業転換しました。

ChatGPTのブームが始まった2022年後半には、AIインフラへの需要が急増。コアウィーブはまさにそのタイミングで最適なポジションにいました。2022年には1,600万ドルの売上にすぎませんでしたが、2024年には19億ドルまで急成長しました。年率737%の成長を遂げ、第4四半期の業績からは年間30億ドルの売上も示唆されています。

収益性と財務指標

2024年には営業ベースで黒字化しており、営業利益率は17%を記録しました。加えて、顧客からの預託金を除いた営業キャッシュフローは7億ドル、利益率は37%に達しています。

この成長の背景には、主要顧客やパートナーであるエヌビディアとの密接な関係が挙げられます。2023年と2024年には、エヌビディアの最新AI技術をいち早く活用できたことが競争優位となりました。

顧客集中のリスクと契約状況

ただし、コアウィーブの事業にはいくつかの懸念もあります。2024年の売上のうち、77%が2つの大口顧客によって構成されており、そのうちマイクロソフト(MSFT)が62%と過半数を占めています。エヌビディア(NVDA)も内部のAI作業でコアウィーブを利用していますが、マイクロソフトの場合はAzureのオーバーフロー容量として使用されています。

2025年3月には、3社目の大口顧客としてオープンAIと契約を締結しました。契約総額は最大116億ドルとされていますが、契約期間についての情報は公開されていません。この契約を除くと、2024年末時点の受注残高は150億ドルで、80億ドル分が2025年から2026年にかけて期限を迎えます。

財務リスクと借入状況

コアウィーブの最高財務責任者(CFO)、ニティン・アグラワル氏はIPO投資家向けの説明で、「資金調達への絶え間ない集中」が必要であることを強調しています。2024年末時点で手配済みの借入総額は120億ドルにのぼり、借入残高は79億ドルです。

借入の加重平均金利は約12%と高水準で、これにより2024年の支払利息は3億6,100万ドルに達し、営業利益3億2,400万ドルを打ち消す形となりました。資本集約型ビジネスの特性上、今後も借入額が増える可能性が高いと見られています。

IPOによって調達予定の資金は23億ドル〜27億ドルとされており、オープンAIからは3億5,000万ドル相当の株式による資金も予定されています。この流動性を活用し、2025年と2026年に返済期限を迎えるローン約56億ドルの返済に充てる計画です。

設備投資とフリーキャッシュフロー

2024年の設備投資額は前年比196%増の87億ドルにのぼり、評価額に見合った事業展開にはさらなる投資が必要です。これにより、顧客からの預託金を除いたフリーキャッシュフローは80億ドルの赤字となっています。

また、2025年から2026年にかけて、11億ドルのリース料の支払いも予定されており、今後の資金繰りには継続的な注視が求められます。

成長維持のカギとリスク要因

中長期的な成長の前提には、AIクラウドコンピューティングの需要が供給を上回るという期待があります。小規模ながらもコアウィーブのような企業は、大手テック企業のオーバーフロー容量として需要を取り込む機会があります。

しかし、需要の成長が鈍化し、供給過多になった場合、同社のビジネスモデルは大きな打撃を受ける可能性があります。マイクロソフトがオーバーフロー容量を必要としなくなった場合、営業利益は急減するリスクがあります。

このようなリスクを軽減するため、コアウィーブは「テイク・オア・ペイ」契約を導入しています。これは、顧客が契約容量を使用しない場合でも違約金が発生する仕組みで、契約は2年から5年、契約金額の15〜25%を現金で預託する方式を採っています。2024年末には、41億ドルの顧客預託金を保有しており、そのうち7億6,900万ドルが2025年に売上として認識される予定です。

株式構成と流動性の制限

公開されるクラスA株式は1株1票の議決権を持ちますが、非公開のクラスB株式は1株10票の議決権があるため、経営陣などが議決権の過半数を保持する構成となっています。完全希薄化後でも、取引可能な株式は全体のわずか9%にとどまります。

まとめ:ハイリスク・ハイリターンのAI銘柄

コアウィーブは、AIコンピューティング分野で圧倒的な成長を遂げている企業であり、AI需要の高まりが続けば株価にも大きな追い風となります。しかし、高水準の設備投資と借入、顧客集中による収益リスクは依然として大きな懸念材料です。

長期投資家にとっては、非常に魅力的である一方で、マクロ環境や需要サイクルによって業績が大きく左右されるため、リスク許容度の高い投資家向けの銘柄と言えます。エヌビディアとの深いつながりがその将来性を支える一方で、過度な依存が弱点にもなり得る点には注意が必要です。

*過去記事「コアウィーブ、IPOで最大320億ドルの評価を目指す

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