2025年に入り、クラウドフレア(NET)の株価が堅調に推移しています。3月25日の時点で、年初来の上昇率は17.85%、過去1年では28%の上昇を見せています。こうした中、バンク・オブ・アメリカ証券(BofA)はクラウドフレアの評価を「アンダーパフォーム」から「買い」へと格上げし、目標株価も60ドルから160ドルへと大幅に引き上げました。
3月25日の米国市場で株価は126.6ドルで取引されており(米国東部夏時間15:30現在)、BofAの新たな目標株価まで26.4%の上昇余地がある状況です。
AI-as-a-serviceのリーダーとしての位置づけ
BofA証券のマデリン・ブルックス氏が率いるアナリストチームは、クラウドフレアが「AI-as-a-service(サービスとしてのAI)」分野で主導的な立場にあると評価しています。このモデルは、顧客が自社でAIインフラを構築する必要なく、クラウドベースでAI機能を利用できるものです。
AI-as-a-serviceは、多くの企業にとって導入障壁が低く、短期間での統合が可能な点が評価されています。BofAの調査によれば、クラウドフレアの顧客の多くが、今後1年以内にAI関連製品の導入を検討していると回答しています。
ハイパースケーラーより選ばれる理由
クラウドフレアは、アマゾン・ドット・コム(AMZN)のアマゾンウェブサービスやオラクル(ORCL)、マイクロソフト(MSFT)のアジュールといった、いわゆる「ハイパースケーラー」よりも選ばれるケースが増えています。その背景には、クラウドフレアの機動性や、より細やかなサービス対応、そしてセキュリティ領域における強みが挙げられます。
特に注目されているのが「セキュア・アクセス・サービス・エッジ(SASE)」と呼ばれるネットワーク・セキュリティ分野です。SASEはネットワークとセキュリティ機能を単一のクラウドプラットフォームに統合するアーキテクチャで、クラウドフレアはこの領域で競合他社から着実にシェアを獲得しています。
売上成長への期待と課題
BofAは、クラウドフレアの最近の事業展開から、2025年通年の売上予測を達成、あるいは上回る可能性が高いと見込んでいます。しかし、すべてが順調というわけではありません。
2028年の売上高目標である50億ドルの達成には、特に企業顧客向けのマーケティングにおいて高精度な戦略が求められます。また、AI市場自体がまだ発展途上であり、AI製品の価格設定や市場規模の成長スピードによっては、AIによる売上貢献が本格化するまでに時間を要する可能性もあります。
差別化への取り組みとセキュリティ強化
クラウドフレアは、他社との差別化を図る新たな取り組みとして、量子コンピューターによるサイバー攻撃に備える「ポスト量子暗号サービス」の提供を開始しました。このサービスは、同社のゼロ・トラスト・ネットワーク・アクセス(ZTNA)セキュリティ・ソリューションと統合され、次世代のサイバー脅威にも対応可能な体制を整えています。
まとめ
クラウドフレアは、AI時代の本格到来に向けて最前線に立つ存在となっています。AI-as-a-serviceの提供、ハイパースケーラーとの差別化、セキュリティ技術の高度化といった要素が株価や業績を押し上げる要因となっており、今後の成長に対する期待も高まっています。BofAによる目標株価の大幅引き上げは、その将来性を示す一つの指標となっています。