3月25日の米国市場でビストラ(VST)やバーティブ・ホールディングス(VRT)などの株価が下落しました。しかし、これらの企業から市場を揺るがすような新たなニュースは出ておらず、理由を説明するのが難しい状況です。NRGエナジー(NRG)、GEベルノバ(GEV)、イートン(ETN)といった他の電力・インフラ関連株も同様に値を下げており、共通の要因が存在すると考えられます。
その鍵となっているのがエヌビディア(NVDA)です。
エヌビディアの株価下落が他銘柄にも波及
エヌビディアは、AI関連銘柄の代表格です。AIに対する投資家の期待が高まると株価は上昇し、逆に懸念が生じると下落します。25日は、中国のアリババ(BABA)の会長が「AIデータセンターにバブルの兆候がある」と警鐘を鳴らしたことが影響し、投資家心理にネガティブな影を落としました。
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その結果、エヌビディアの株価は0.59%下落し、120.69ドルとなりました。
高い相関性を持つ銘柄も連れ安に
エヌビディアと過去3カ月間において0.75以上の相関関係(統計的な連動性)を持つ12銘柄のうち、11銘柄が同日下落しています。たとえば、AIデータセンター向けの原子力発電施設を手がけるビストラは2.32%下落、冷却システムを提供するバーティブ・ホールディングスも2.25%安となっています。
また、電力供給のためにガスタービンを製造するGEベルノバは2.15%、原子力事業も行う電力会社NRGエナジーは0.57%の下落となりました。工場や住宅への電力供給を支えるイートンとエムコア・グループ(EME)も、それぞれ0.94%、0.14%下落しています。
これらの銘柄はすべて、アリババの発言に起因するAI関連株のセンチメント悪化の影響を受けたとみられます。
半導体やネットワーク関連銘柄も軟調
エヌビディアと密接な関係にあるアステラ・ラブズ(ALAB)やブロードコム(AVGO)といった半導体関連株も1%以上下落しました。また、エヌビディアと協業関係にあるシノプシス(SNPS)や、ネットワーク関連のアリスタ・ネットワークス(ANET)、ネットワーク機器メーカーのシエナ(CIEN)も値を下げています。
相関は因果関係ではないが、動向を読むヒントに
相関関係は必ずしも因果関係を意味するわけではありませんが、特にニュースが乏しい日には、エヌビディアの株価動向が他の関連株の動きに与える影響を読み解くうえで有効な手がかりとなります。
2025年のAI関連株の動向を占う上で、エヌビディアの影響力の大きさを再認識させられる1日となりました。今後も、AIやデータセンターに関する市場心理の変化が、幅広い産業セクターに影響を及ぼす可能性があるため、投資家は動向を注視する必要があります。
*過去記事「エヌビディアと電力網関連銘柄は買い増しの好機か?」