クラウド分野で急成長を遂げている新興企業のコアウィーブ(CRWV)は、新たに提出した申請書によると、270億ドル〜320億ドルの評価額で株式公開(IPO)を目指しています。ナスダック市場への上場を計画しており、ティッカーは「CRWV」となる予定です。
この評価レンジの中間値に基づけば、コアウィーブは2024年の売上高の16倍、営業利益の92倍という非常に高い倍率での評価となります。これは、現在の米国株式市場における他の上場企業と比較しても、かなり高い水準です。
S&P500やナスダックと比較しても高水準のバリュエーション
参考までに、現在のS&P500種株価指数は売上高の2.8倍、ナスダック総合指数は3.9倍となっています。これらと比較すると、コアウィーブの評価は異例の高さであることがわかります。
しかし、この高評価には理由があります。コアウィーブは2024年に年率737%という驚異的な売上成長を記録しています。この成長が持続可能であるとは限らないものの、2025年のIPO市場が鈍化する中で、同社がこのような高い評価を求める背景には、こうした爆発的な成長実績があると言えます。
スノーフレークと比較されるコアウィーブのIPO
投資家がコアウィーブを評価する際の参考例として、クラウドデータ企業のスノーフレーク(SNOW)のIPOがあります。スノーフレークは2020年後半、IPO市場が活況を呈していた時期に上場し、当時年率174%の売上成長を記録していました。IPO時の評価は売上高の20倍とされており、現在のコアウィーブのバリュエーションと類似しています。
ハイテク企業IPOの歴史的なバリュエーション推移
フロリダ大学ワリントン・カレッジ・オブ・ビジネスのジェイ・リッター教授によると、過去10年間におけるハイテク企業IPOの売上高倍率の中央値は、2016年の4.2(この年はIPO市場が低迷)から、2021年の15.2(121社が上場)まで大きく幅がありました。
また、ドットコム・バブル期の1999年には370社のハイテク企業がIPOを果たし、売上高倍率の中央値は27に達していました。これらと比較しても、コアウィーブの16倍という水準は高いものの、過去の高評価事例と同様のトレンドに位置していると言えます。
コアウィーブのIPOは2025年の注目案件に
コアウィーブのIPOは、2025年における数少ない注目IPO案件のひとつとなりそうです。IPOの正式な価格設定は早ければ今週にも行われる見込みです。投資家にとっては、同社の成長性とともに、高評価に対するリスクとリターンのバランスを慎重に見極めることが重要です。